研究課題/領域番号 |
23360013
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上田 裕清 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40116190)
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研究分担者 |
三崎 雅裕 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 特命助教 (00462862)
石田 謙司 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20303860)
小柴 康子 神戸大学, 工学研究科, 助手 (70243326)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 有機半導体 / 結晶成長 / 配向制御 / オンデマンド / パターニング / イオン液体 / 薄膜トランジスタ / 薄膜太陽電池 |
研究概要 |
有機デバイス創出のための基盤技術として、"所定の位置"に"所定のサイズ"で結晶方位のそろった有機結晶を集積化する「オンデマンド有機結晶成長技術」の開発を目的として, 可溶性前駆体からの有機半導体の熱転換結晶成長、結晶成長テンプレート形成とパターニングおよび配列有機結晶を用いた光・電子デバイスの創出に関する研究を実施した。Siウェハーおよび石英ガラス上に作製したベンゾポルフィセン前駆体膜は均一な非晶膜から形成され、レーザーを照射することにより熱転換し、走査方向に高度に一軸配向したベンゾポルフィセン薄膜が得られることを見出した。特にマスクを通じてレーザーを照射することで露光部のみを転化させるオンデマンド結晶成長およびパターン形成に成功し、トランジスタにおける電極間など必要箇所のみで結晶化させることを可能にした。一方フッ素末端基を有するホスホン酸系の自己組織化単分子膜を用いてITO基板表面を改質し、銅フタロシアニンの分子配向制御や結晶成長に関する基礎的知見を得ることに成功した。一連の研究成果により、有機分子の結晶成長にぬれ性の概念を導入した新たな学理を創出するとともに、3次元組織化による高性能有機薄膜太陽電池の創成に向けた基本的指針を得た。更に、気―液界面を利用するオンデマンド有機結晶成長法としてイオン液体を結晶成長場として適用し、有機半導体ルブレンの結晶・凝集状態制御を可能とした。総じて、オンデマンド有機結晶成長技術のための要素技術を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は研究代表者の急逝により最終年度初期にて研究廃止となったが、有機半導体結晶の局所パターニング、大面積配向化、ナノロッド形成など、研究目的とするオンデマンド有機結晶成長のための要素技術の確立に成功しており、おおむね順調に研究進展したと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を通して、オンデマンド有機結晶成長に向けた要素技術の構築を実現したので、今後はデバイス特性取得を目指して、特に複数電極や異種電極材上でのオンデマンド有機結晶やナノ有機結晶の配列結晶化技術へ拡張を目指す。異なる形状、異なる表面エネルギーをもつ電極材上での集積化が要望されており、より積極的な成長場コントロールのため、従来法のパラメータ最適化や深化のみならず、光や閉鎖ナノ空間、流動結晶場等の新規導入による結晶成長技術の確立を目指す。
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