研究課題
来るべきユビキタス社会のディスプレイに求められるキーワードは、「透明」、「フレキシブル」である。本研究では、イオンビーム手法を用いた独自のナノ材料室温作製技術を用い、電界電子放射型の高可視光透過率の、「フレキシブルで透明なディスプレイ」の開発を目的としている。本年度の具体的成果は以下の通りである。a) 前年度の実験の継続と各要素技術の更なる高度化:高い透明性、可撓性、電界放射(FE)特性を得るための最適ナノ突起の室温作製技術、導電性制御技術開発に注力し高度化を行った。前者では、比較的サイズの大きい突起構造が得られる垂直Neイオン照射について、イオン照射時間依存性を精査し、極短時間でナノ突起が形成されるイオン照射条件を確立した。これに導電性制御技術を組み合わせ、このナノ突起基板への単層カーボンナノチューブ(SWCNT)分散を試み、平坦基板上にSWCNTを分散させたものに比べて顕著なFE特性の向上が認められた。この成果によって分散させるSWCNTの量を約1/3に削減でき、その結果、95%以上の可視光透過率の透明フレキシブル電子源が実現された。導電性制御技術では、ピエゾ微小駆動機構を有する試料ホルダーを用いた単一ナノ突起、ナノ材料のFE特性評価とそれに伴う結晶構造変化のその場透過電子顕微鏡観察システムを用いて、金含有カーボンナノファイバー(CNF)の電子放射による結晶構造変化を精査した。前年度の鉄含有CNFとは異なり、CNT化は認められず、湾曲構造のグラフェン化が生じることが明らかにされた。また、蛍光体開発では、ドーパントを制御することで、酸化物薄膜で可視光透過率80%程度の透明蛍光体を作製することが可能であった。b) フレキシブル透明ディスプレイプロトタイプの検討:開発された透明フレキシブル電子源と透明蛍光体を組み合わせたディスプレイ素子を作製し、緑~青色の発光色を確認した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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