研究課題/領域番号 |
23360037
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
栗村 直 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, 主幹研究員 (10287964)
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研究分担者 |
林 桓弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, NIMSポスドク研究員 (70601011)
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キーワード | 常誘電体 / 水晶 / ツイン / 分極反転 / 非線形光学 |
研究概要 |
ArFなどの有毒なフッ素系反応性ガスを用いていた紫外エキシマレーザーの波長域を、単結晶SiO2による波長変換を用いた全固体レーザーで実現することを目的とし、環境に易しくメンテナンスの容易な光源システムをめざしている。水晶は天然に豊富に存在する安全な材料として知られており、紫外光高強度での信頼性が担保されている有望な光学材料である。水晶を用いた波長変換デバイスにより短波長への波長変換を行い、真空紫外波長のレーザー光源をめざしていく。このためには水晶内部に微細な周期ツインが要求され、我々の独自技術である応力印加ツイン形成方法の微細化を進める必要がある。 ツインを微細化するためには応力のコントラストを確保するための水晶表面の段差周期を細かくする方法をとる。この際に応力印加で一端ツインは発生するもののツイン壁に蓄積される弾性エネルギーによりバックスイッチング(BS)が顕著になり構造が不安定になる。「水晶のツインは大きなイオンシフトを伴わないため壁に蓄積されるエネルギーを無視できる」としてきた1960-80年代の報告と明らかに矛盾し、微細周期になると壁の蓄積エネルギーが重要であることを示している。BSの蓄積エネルギーを評価するために、パルス応力を印加後、応力の絶対値を低下させてBSした時点での応力(σBS)を実時間観察で測定した。ツインサイズの微細化に対して要求される抗応力は増加するがσBSの上昇はさほど顕著な依存性を示さなかった。σBSを0にできればツインの安定化が可能になるため、応力印加時の印加時間および温度をパラメータとして探索したが、σBSを大きく低下させるパラメータ領域は発見できていない。強誘電体のドメイン制御の経験から応力や温度の履歴に依存する可能性もあるため、継続的に領域探索を行っていく。また同時にσBSが残留する場合に備えて、応力印加状態を継続できる特殊なモジュールの設計を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定されたデータは十分に取得でき、σBSのパラメータ依存性は評価できた。今後はこれを低下させる領域の探索を継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
σBSを低下させるパラメータ領域の探索を行う。強誘電体のドメイン制御の経験から応力や温度の履歴に依存する可能性もあるため、継続的に領域探索を行っていく。また同時にσBSが残留する場合に備えて、応力印加状態を継続できる特殊なモジュールの開発を行う。
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