研究課題/領域番号 |
23360037
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
栗村 直 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (10287964)
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研究分担者 |
林 桓弘 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (70601011)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 水晶 / 分極反転 / 非線形光学 / 常誘電体 / ツイン |
研究概要 |
光化学反応や微細加工の分野において真空紫外のレーザーが用いられている。波長193nmにはArFガスを用いるエキシマレーザーが存在し、この波長に合わせて設計されたシステムが多数あるため、真空紫外波長のデファクトスタンダードとなっている。フッ素系反応性ガスであるArFは毒性があり、劣化によるガス交換が必要で高いメンテナンスコストが要求される。密度の低いガス媒質に対して、密度の高い固体を用いた全固体レーザーが真空紫外波長でも検討されており、単結晶SiO2による波長変換を用いる提案が本提案である。このためには水晶内部に周期数μmをもつ微細なツイン構造が求められ、我々の独自技術である応力印加ツイン形成法の微細化を進める必要がある。 垂直応力印加により表面応力のコントラストを確保するために、結晶表面にエッチングにより段差を形成している。高温下で応力を印加することで一端ツインは発生するものの、ツイン壁に蓄積される弾性エネルギーによりバックスイッチング(BS)が生じ構造が不安定になる。H23年度の研究から微細周期になるとよりBSが顕著になることがわかっており、壁の蓄積エネルギーが重要であることが推察された。そこで応力印加領域を小さくしてツイン壁の面積を下げることで蓄積弾性エネルギーを低下させた。すなわち結晶の幅を減少させることでツインの残存数は増加しBSした時点での応力(σBS)を低下させることができた。同様に結晶の厚さを減少させることでもツイン壁の面積は低下し、やはりσBSを低下させることができた。微細ツイン構造安定化のための基礎データ群は着実に構築されている。 今後上記の形状、境界条件とは独立に制御できるプロセスパラメータに関して、σBSの依存性を評価していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定されたデータは十分に取得でき、σBSの境界条件依存性が評価できた。ツイン壁の弾性エネルギーを考慮するモデルが実証され、境界条件の変更によりσBSを低下させることができた。より安定なツイン構造へ着実に近づいた。
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今後の研究の推進方策 |
σBSを低下させる境界条件が見いだされたため、今後の境界条件はこれに統一していく。境界条件とは独立に決定できるプロセスパラメータについて、検討を進める。またσBS>0の場合も考慮して、安定なツイン構造のために応力保持治具の開発も進めていく。
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