研究課題
高いエネルギーをもつ短波長レーザー光は、現在は密度の低いガスを媒質として利得を得るレーザーが主流であり、一定の利得を得るために長い相互作用長が必要になっている。本プロジェクトは、これを密度の高い固体材料で置き換えて小型化し、可搬性の高い光源をめざしている。ここでは水晶を用いた波長変換デバイスにより市販の赤外レーザーを真空紫外へ波長変換して真空紫外レーザーを得る。この擬似位相整合波長変換のために、水晶内部に微細な周期ツインを安定的に形成する技術を探索する。微細ツインを安定に形成するためには、応力印加で発生したツイン壁に蓄積される弾性エネルギーを低減することが重要であり、これが高いとバックスイッチング(BS)が発生する。壁の蓄積エネルギーを評価するために、応力を印加してツインを発生させた状態から応力の絶対値を低下させて、BSした時点での応力(σBS)を実時間観察で測定した。冷却時の温度勾配を十分小さくとって徐冷を行うと、段差加工面の温度低下とともにσBSは約50%低減させ得ることがわかった。この温度依存曲線を室温に外挿するとσBSは0以下と求められ、周期42μmでは安定的に存在することが実証された。ここにおいてσBSの定量評価から安定的なツイン形成に到る手法が確立されたと言える。今後短周期においてσBSを0とする条件を継続的に探索する。さらにツインサイズ(周期)に対して抗応力のグラフを測定し、サイズ減少に伴い抗応力が上昇することがわかった。微細ツイン形成時の抗応力の境界条件依存性が求められた。また有限要素法によるシミュレーションを用いて結晶内の応力分布を計算し異なる段差形状と抗応力の関係を測定した。抗応力に大きな変化はみられず、段差構造の形状を制御パラメータから除くことができた。これらと平行して応力印加状態を継続できる高平行モジュールを試作し、ツインの安定化を確認した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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OPTICS EXPRESS
巻: vol.22, No.5 ページ: 369-375
10.1364/OE.22.005209
http://www.nims.go.jp/fcg/kurimura/
http://samurai.nims.go.jp/KURIMURA_Sunao-e.html