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2011 年度 実績報告書

X線領域におけるフェムト秒光学遅延と自己相関器の研究開発

研究課題

研究課題/領域番号 23360038
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

玉作 賢治  独立行政法人理化学研究所, 石川X線干渉光学研究室, 専任研究員 (30300883)

キーワードX線 / 非線形光学 / X線自由電子レーザー / 2光子吸収
研究概要

本研究は、X線領域でのガスの非線形光学過程を理論的・実験的に理解し、これを応用してX線自由電子レーザーのパルス幅を測定することを目標としている。初年度である平成23年度は、ガスの非線形光学過程を測定するためのガスチェンバの開発を行った。
まず、X線領域での2光子過程を検討し、相文寸論的な寄与がどの程度であるか見積もった。その結果、特殊な条件下でなければ、その効果は1%以下であることが判明した。この知見をもとに、2光子吸収(TPA,two-photon abosorption)過程と2光子による1s電子の2重イオン(DCH,double core-hole)状態の散乱断面積を評価した。そして日本のX線自由電子レーザー(SACLA)での実験を想定して、TPA過程とDCH状態が観測可能なパラメータをそれぞれ検討した。これらをもとにガスチェンバを入念に設計した。製作されたガスチェンバ本体は、5つの区間から構成される。その中央がガスの非線形光学過程を起こす区間であり、前後に2段の差動排気区間を設けている。こうすることでSACLAのビームラインに直結できるようにし、空気散乱に起因するバックグランドを抑えるようにした。また、ガスチェンバ本体は多軸の方位調整架台に搭載し、容易に光軸に合わせられるように工夫した。TPA過程やDCH状態の観測には、励起状態からの発光を利用するとととし、このための高効率な分光光学系をガスチェンバに最適化させて製作した。さらに、外部からX線レーザーとは別に赤外レーザーを導入できるようにし、将来2つのレーザーを同時に用いた相互相関器への拡張も出来るようにした。
以上により、SACLAでの供用実験の準備が完了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画では、フェムト秒光学遅延と自己相関器の2つの開発項目を挙げていた。しかし、東日本大震災による予算配布の遅延があり、また、海外グループの研究動向を考慮して、自己相関器の中心装置であるガスチェンバ開発を優先することとした。

今後の研究の推進方策

SACLAのピークパワーが想定より低い可能性があり、その場合、ガスの非線形光学過程の観測が困難になると予想される。特にDCH状態の観測に必要な光子エネルギーが高い領域でパワーが出づらいようなので、散乱断面積の小さく困難が予想されるが、低い光子エネルギーで起こるTPA過程の観測を先に行うなどの対策をする。また、使用する予定の検出器の量子効率も想定より低いことが判明したので、代替の検出器を検討する。

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公開日: 2013-06-26  

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