研究概要 |
電界紡糸法を用いて酸化チタンおよびそれにニオブをドープしたナノファイバを作製し,直径数十ナノメートルのファイバ膜の作製条件を確立した.色素増感太陽電池の光電極の酸化チタン多孔膜と透明導電膜の間にナノファイバ層を挿入した電極では,多孔膜と透明導電膜の結合が弱くなりほとんど効果がなかったが,ナノファイバを酸化チタンナノ粒子と混合し色素坦持層とした薄膜においては,短絡電流密度の上昇によるエネルギー変換効率の向上が見られた.パルス光応答測定からナノファイバの挿入によって電荷移動速度が向上し,さらにニオブドープによってその効果が顕著になったことが確認できた.現在得られているナノファイバは微結晶の集合体で粒界抵抗が大きい.にもかかわらず以上のような効果が現れたことは,結晶性の向上によりさらなる移動度の向上が見込めることを示すもので,非常に意義深い.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初掲げた(1)酸化チタンナノファイバの色素増感太陽電池への応用,(2)ニオブドープ酸化チタンナノファイバの作製,(3)ニオブドープ酸化チタンナノファイバの色素増感太陽電池への応用の3項目については,ほぼ目的を達成した.残る(4)酸化タングステンナノファイバの光蓄電池への応用については,酸化タングステンナノファイバの作製条件を探索しているところである.
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展しているものの,作製したナノファイバが微結晶の集合体であり,その基礎物性を評価するに当たって困難が予想され,今後のさらなる進展にむけての障害になることが懸念される,そこで,ナノファイバ紡糸装置に特殊なディスクコレクタを導入してナノファイバの方向をそろえるなど,物性評価に向けた方策を施す予定である.
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