分子科学研究所のシンクロトロン光源加速器UVSOR-IIIを利用して、独自のアイデアに基づき、波長200nm~30nmの波長域でスペクトル幅10-6を上回る波長可変狭帯域コヒーレント光を発生する技術の確立を目指し研究を進めた。今年度は昨年度に進めたレーザー輸送系を用いて、CHG光のスペクトル計測システムの構築を進め、その性能評価を行った。また、これを用いてCHG光が入射レーザーパルス長から予想されるフーリエ限界と矛盾しない狭帯域のスペクトル幅を有することを実験的に確認することができた。高効率のCHG発生に必須となるレーザーと電子ビームの空間的アライメントについて、ファーバー入光分光器を用いたスペクトルの空間分布計測を行い、2台のアンジュレータの光軸のずれを効果的に検出できることを見出した。この技術を元にレーザーと電子ビームの有限角度交差を実現するための基礎技術を確立することができた。ナノ秒レーザーパルス発生法においてより高強度のパルスを生成するために誘導ブリルアン散乱を用いる手法の検討を進めた。以上の通り、超極帯域CHG光発生を実現する基礎技術を確立することに成功した。これらの技術を元に、今後、さらに研究を継続し、超狭帯域波長可変CHG光の発生を目指す。
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