研究課題/領域番号 |
23360044
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山田 家和勝 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 部門付 (70358258)
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研究分担者 |
福山 直人 東海大学, 医学部, 准教授 (50349338)
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70350428)
豊川 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 小型量子ビーム源グループ付 (80357582)
平 義隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60635803)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 非・低侵襲計測・治療 / 光源技術 / 高性能レーザー / 量子ビーム / 放射線 |
研究概要 |
本研究は、小型電子加速器と高出力レーザーを駆使したレーザーコンプトン散乱準単色硬X線(LCS-X線)の高収量発生技術とその医用イメージングへの適用手法の研究を目的とする。 本年度は、再生増幅器型レーザー共振器を完成させ、LCS-X線マルチパルスを安定生成するため、レーザー発振器の安定化を行った。同時に、レーザーコンプトン散乱X線により人体等価材料(ポリウレタン・エポキシ樹脂)で作製された人体頭部ファントムを用いた血管造影実験を行った。ファントム内部には硫酸バリウム(K殼吸収端約37.4keV)を造影剤とした血管が模擬されており、最大約38keVにチューニングした準単色X線を照射することでファントム首部の頚動脈撮像に成功した。これにより人体とほぼ同じ材質・厚みの物質であっても準単色性を生かした低侵襲・高コントラスト撮像が可能であることが示された。当所におけるLCS-X線の発生とその医用イメージングへの適用実験と並行して、回転セリウム陽極微小血管造影法を用いた心筋貫通枝および脳穿通枝の描出の研究が、他機関の分担研究者によって進められた。 今後は、さらなるイメージングのコントラスト増強のため、タルボ干渉法による高精細医用イメージング実現を目指しいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発振器として用いているモードロックTi:Saレーザーの故障(PZTとSESAMの剥離)のため、発振器を含めたシステムの再設計・再構築を余儀なくされ、当初予定していた再生増幅器型レーザー共振器への蓄積エネルギーの増強による高収量のマルチパルスX線発生には至らなかった。ただし、従来の構成によるLCS-X線を用いて、硫酸バリウム(K殼吸収端約37.4keV)を造影剤とする人体頭部ファントムを用いて血管造影実験を行い、最大約38keVにチューニングした準単色X線を用いてファントム首部の頚動脈撮像が可能であることが実証される等の付加的な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、昨年度進める予定であった再生増幅器型レーザー共振器の蓄積エネルギー増強を目指すとともに、共振器の電子加速器ビームラインへのインストールを行い、マルチバンチ電子ビームとの衝突によってマルチパルスLCS-X線を生成する。同時にマルチパルスLCS-X線の高精細微小血管造影への適応研究や、さらなる高コントラスト撮像を目指したタルボ干渉法によるイメージングの可能性の検証を行っていく。
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