• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

ヘマタイト粒子サスペンションの特異的機能性発現現象の解明とその制御法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 23360049
研究機関秋田県立大学

研究代表者

佐藤 明  秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50211941)

研究分担者 青島 政之  秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (20315625)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2015-03-31
キーワード粒子サスペンション / レオロジー / 分子シミュレーション / 磁気粘性効果 / ブラウン運動
研究概要

本年度の本研究の主たる目的は、種々のヘマタイト粒子サスペンションを調製し、前年度までに構築したレオロジー測定装置システムを用いた磁気粘性効果の広範囲な実験を行うとともに、分子シミュレーションも並行して行い、レオロジー特性の詳細な検討を行うことであった。ヘマタイト粒子サスペンションの調製においては、従来の調製法を工夫して、ある程度所望のアスペクト比を有するヘマタイト粒子の調製法の構築に成功した。それらの粒子をグリセリン水溶液に分散させて、実験用のヘマタイト粒子サスペンションの調製を行い、従来から課題であった、種々の濃度のサスペンションを作製することも可能となった。以上の種々のアスペクト比のヘマタイト粒子を懸濁した種々の濃度のサスペンションを対象に、印加磁場下での粘度が負になる現象、すなわち、逆磁気粘性効果の実験的な検討を行い、貴重な結果を得ることに成功している。つまり、逆磁気粘性の及ぼすずり速度の大きさ、印加磁場の強さならびに粒子の体積分率の影響を詳細に解明することに成功した。さらには、広範囲な実験環境下での精度良い結果を得るための実験的なノウハウも取得でき、今後のさらなる実験データの効果的な取得を可能にする状態まで研究を達成させることができた。この実験的な研究として平行して進めた分子シミュレーションにおいては、棒状粒子系のブラウン動力学法のシミュレーション・プログラムの構築を行っている。このシミュレーション・プログラムを用い、逆磁気粘性効果に寄与する要因を諸因子に分解する理論的な考察を行い、それらの因子による寄与を詳細に解明することに成功している。以上の分子動力学シミュレーションにおいては、より詳細な検討を行う上でのシミュレーション技法面でのノウハウの蓄積にも成功し、今後のシミュレーション的な研究の拡張にも容易に対応できるレベルまで研究を進展させることに成功している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

種々のヘマタイト粒子サスペンションの調製、レオロジー測定装置システムを用いた磁気粘性効果の広範囲な実験、並行しての分子シミュレーション的な検討を主眼とした本年度の研究目的は、ほぼ達成したと言うことができる。すなわち、ヘマタイト粒子サスペンションの調製においては、従来の調製法を工夫して、ある程度所望のアスペクト比を有するスピンドル状のヘマタイト粒子の調製法の構築に成功した。以上の種々のアスペクト比のヘマタイト粒子を懸濁した種々の濃度のサスペンションを対象に、印加磁場下での粘度が負になる現象、すなわち、逆磁気粘性効果の実験的な検討を行い、貴重な結果を得ることに成功している。並行して進めた分子シミュレーションにおいては、逆磁気粘性効果に寄与する要因を諸因子、すなわち、粒子と磁場の相互作用によるトルクの寄与、粒子同士の相互作用による力およびトルクによる寄与を詳細に解明することに成功している。以上を考慮すると、概ね順調に研究は進展していると言うことができる。

今後の研究の推進方策

本年度の研究では、昨年度までの実績を踏まえ、更なる実験的な研究を主として推進する方針である。より大きな磁気粘性効果を得るためには、アスペクト比の大きなスピンドル状ヘマタイト粒子を調製する必要があり、それに加えて、粒子の体積分率の大きなサスペンションを調製する必要がある。本年度で得た調製法のノウハウを駆使して更なる調整法の拡張改善を試み、より現実的なヘマタイト粒子分散系の調製の実現を計るため、これら粒子のグリセリン水溶液を母液とするサスペンションを対象として、磁気粘性効果の詳細な検討を行うことで、逆磁気粘性効果の諸因子への依存性を詳細に解明する方針である。実験的なこれら研究と並行して、ブラウン動力学法による分子シミュレーションを駆使して、現在まで未検討であった磁気粘性効果および内部構造発現現象に及ぼす印加磁場の方向の影響に関しても検討する方針である。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] Application of the Brownian Dynamics Method to a Rod-like Hematite Particle Dispersion2014

    • 著者名/発表者名
      Satoh, A.
    • 雑誌名

      Molecular Physics

      巻: 112 ページ: 1002-1011

    • DOI

      10.1080/00268976.2013.826393

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Influence of the spin Brownian motion on the negative magneto-rheological effect in a rod-like haematite particle suspension2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Satoh
    • 雑誌名

      Molecular Physics

      巻: Volume 111 ページ: 1042-1052

    • DOI

      10.1080/00268976.2013.764025

    • 査読あり
  • [雑誌論文] On the viscosity-modifying method for activating the Brownian motion of magnetic particles in lattice Boltzmann simulations2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Satoh
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic Materials

      巻: Volume 333 ページ: 75-86

    • DOI

      10.1016/j.jmmm.2012.12.025

    • 査読あり
  • [雑誌論文] スピン回転ブラウン運動を考慮したブラウン動力学シミュレーションによる棒状ヘマタイト粒子分散系の逆磁気粘性効果の検討2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤 明
    • 雑誌名

      日本機械学会論文集B編

      巻: Vol. 79 ページ: 1460-1475

    • DOI

      10.1299/kikaib.79.1460

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 河川湖沼の透視度改善技術に関する2成分帯電粒子分散系を対象としたブラウン動力学シミュレーション2013

    • 著者名/発表者名
      田村 聡, 種子 英児, 佐藤 明
    • 雑誌名

      日本機械学会論文集B編

      巻: Vol. 79 ページ: 368-379

    • DOI

      10.1299/kikaib.79.164

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 針状ヘマタイト粒子からなる希釈サスペンション系の配向分布とレオロジー特性に及ぼす外部磁場方向の影響(スピン回転ブラウン運動を考慮した理論解析)2013

    • 著者名/発表者名
      作田 康裕, 佐藤 明
    • 雑誌名

      日本機械学会論文集B編

      巻: Vol. 79 ページ: 164-175

    • DOI

      10.1299/kikaib.79.164

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 棒状ヘマタイト粒子分散系の凝集現象解明のためのブラウン動力学シミュレーション2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤 明
    • 雑誌名

      日本機械学会論文集B編

      巻: Vol. 79 ページ: 38-52

    • DOI

      10.1299/kikaib.79.38

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 磁性粒子のブラウン運動誘起のためのブラウン動力学法と格子ボルツマン法のハイブリッド型シミュレーション法の検討2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤 明, 青島 政之
    • 雑誌名

      化学工学論文集

      巻: vol. 39 ページ: 485-492

    • DOI

      10.1252/kakoronbunshu.39.485

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ブラウン動力学シミュレーションによる強磁性棒状粒子分散系の磁気粘性効果の検討2013

    • 著者名/発表者名
      青島 政之, 佐藤 明
    • 雑誌名

      化学工学論文集

      巻: vol. 39 ページ: 272-279

    • DOI

      10.1252/kakoronbunshu.39.272

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 棒状ヘマタイト粒子分散系が示す凝集構造と逆磁気粘性効果2013

    • 著者名/発表者名
      青島 政之, 佐藤 明
    • 雑誌名

      表面

      巻: Vol. 51 ページ: 13-25

    • 査読あり
  • [学会発表] On the Behavior of an Oblate Spheroidal Hematite Particle in a Simple Shear Flow under a Uniform Magnetic Field Applied in the Flow Direction2013

    • 著者名/発表者名
      Haruka Yokoyama and Akira Satoh
    • 学会等名
      2013 ASME (American Society of Mechanical Engineers) 2013 International Mechanical Engineering Congress & Exposition
    • 発表場所
      San Diego, U.S.A.
    • 年月日
      20131115-20131121
  • [学会発表] 棒状ヘマタイト粒子分散系の逆磁気粘性効果の解明のためのブラウン動力学シミュレーション2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤 明
    • 学会等名
      日本機械学会 第91期流体工学部門講演会
    • 発表場所
      福岡市, 九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      20131109-20131110
  • [学会発表] 河川湖沼の透視度改善技術に関する2成分帯電粒子分散系を 対象としたブラウン動力学シミュレーション2013

    • 著者名/発表者名
      田村 聡,種子 英児,佐藤 明
    • 学会等名
      日本機械学会 第91期流体工学部門講演会
    • 発表場所
      福岡市, 九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      20131109-20131110
  • [学会発表] 磁性粒子のブラウン運動誘起のためのブラウン動力学法と格子ボルツマン法のハイブリッド型シミュレーション法の検討2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤 明
    • 学会等名
      日本機械学会 第91期流体工学部門講演会
    • 発表場所
      福岡市, 九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      20131109-20131110
  • [学会発表] ブラウン動力学シミュレーションによる扁平ヘマタイト粒子分散系の凝集現象の解明2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤 明
    • 学会等名
      日本機械学会 第91期流体工学部門講演会
    • 発表場所
      福岡市, 九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      20131109-20131110
  • [学会発表] On Aggregation Phenomena in a Disk-Like Hematite Particle Suspension in a Simple Shear Flow By Means of Brownian Dynamics Method2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Satoh
    • 学会等名
      2013 AIChE(American Institute of Chemical Engineers) Annual Meeting 2013
    • 発表場所
      San Francisco, U.S.A.
    • 年月日
      20131103-20131108
  • [学会発表] Aggregation Phenomena in a Rod-like Hematite Particle Suspension in a Simple Shear Flow under a Uniform Applied Magnetic Field2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Satoh
    • 学会等名
      46th Biennial Meeting of the German Colloid Society
    • 発表場所
      Paderborn, Germany
    • 年月日
      20130923-20130925
  • [学会発表] 単純せん断流中での扁平ヘマタイト粒子の配向特性と輸送係数 (磁場を流れ方向に印加した場合)2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤 明, 横山 遙
    • 学会等名
      第64回コロイドおよび界面化学討論会
    • 発表場所
      名古屋市, 名古屋工業大学
    • 年月日
      20130918-20130920
  • [学会発表] 磁気粘性流体への応用を目指したNi-Auナノロッド分散系の調製2013

    • 著者名/発表者名
      青島政之, 佐藤 明
    • 学会等名
      第64回コロイドおよび界面化学討論会
    • 発表場所
      名古屋市, 名古屋工業大学
    • 年月日
      20130918-20130920
  • [学会発表] ブラウン動力学シミュレーションによる棒状ヘマタイト粒子分散系の凝集現象の解明2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤 明
    • 学会等名
      日本機械学会 2013年度年次大会
    • 発表場所
      岡山市, 岡山大学 津島キャンパス
    • 年月日
      20130908-20130911
  • [学会発表] Theoretical Analysis on the Orientatiomal Charactelnsticttand Rheological Properies of a Rod‐ likeIIematite Particle Suspensiom in a Sinlple Shear Flow2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Satoh and Yasuhiro Sakuda
    • 学会等名
      27th Conference of the European Colloid and Interface Society (ECIS 2013)
    • 発表場所
      Sofia, Bulgaria
    • 年月日
      20130901-20130906

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi