平成26年度の本研究の主たる目的は、昨年度までに開発したスピンドル状ヘマタイト粒子の調製法のノウハウを駆使してさらなる調製法の拡張改善を試みるとともに、スピンドル状ヘマタイト粒子サスペンションを対象に、ブラウン動力学法による分子シミュレーションを駆使して、磁気粘性効果の詳細な検討を行うことであった。ヘマタイト粒子の調製法の改善に関する実験的な研究により、エージングなどのファクターと針状ヘマタイト粒子のアスペクト比との関係を広範囲に検討した結果、所望の特性を有する針状粒子の創製に関するノウハウを構築することに成功した。現在このようなヘマタイト粒子をグリセリン水溶液に分散させたサスペンションを調製し、逆磁気粘性効果の洗練された制御法のさらなる構築に精力的にチャレンジしている段階である。ブラウン動力学シミュレーションより、棒状粒子の通常の並進および回転のブラウン運動に加えて、スピン回転ブラウン運動を考慮したブラウン動力学法による分子シミュレーションを駆使して、粒子の凝集構造ならびに配向分布に及ぼす逆磁気粘性効果への影響を詳細に検討し、制御法に関する重要な知見を得ることに成功した。この研究においては、逆磁気粘性効果の特性をより深く議論するために、磁場と磁気モーメントの相互作用による粘度成分、粒子間磁気力に基づく力およびトルクに起因する粘度成分に分解して、その寄与の大きさを詳細に解明した。本研究は、さらなる効果的な制御技術の構築を目指して研究を推進している段階である。さらには、次に応用が非常に有望な扁平ヘマタイト粒子分散系に拡張し、凝集構造の相転移現象と(逆)磁気粘性効果との関係の解明を行うべく研究計画を作成している段階である。
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