研究課題/領域番号 |
23360050
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂 真澄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20158918)
|
研究分担者 |
村岡 幹夫 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50190872)
燈明 泰成 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374955)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | マイクロ・ナノ構造体 / エレクトロマイグレーション / 異種金属接合角部 / 原子集積 / ワイヤ / アレイ / 高機能断面 / 特性評価 |
研究概要 |
1.長い金属マイクロ・ナノワイヤの作製 エレクトロマイグレーションによる長い金属マイクロ・ナノワイヤ創製には、通電によるサンプル断線寿命が長いことが重要であり、これを実現するため従来のサンプル構造を発展させたサンプル構造を考案した。具体的には、保護膜を従来の絶縁体であるTEOS膜から導電性を有する膜に変えることで主の原子拡散源である金属配線が一部断線しても継続して通電が可能となるようにした。同時に、金属マイクロ・ナノワイヤ作製のための最適な電流密度と基板温度との関係を実験により検討した。 2.高機能断面を有するマイクロ構造体の作製 高機能性を追求した断面を有するマイクロ構造体作製のためのサンプルを作製し、実験に着手した。具体的には、保護膜に原子排出孔を作製するにあたり、従来の方法である集束イオンビーム装置を用いた手法のみならず、フォトリソグラフィーによってもこれが達成できることを実証した。フォトリソグラフィーを用いて高機能断面を有する排出孔を作製することは、マイクロ構造体の大量創製を見据えた製作時間の短縮につながる。これにより形状の異なる排出孔を複数作製し、実験に供した。 3.金属微細ワイヤ/構造体アレイの実現 10本のアレイ構造を有する新規サンプルを作製し、実験に着手した。なお上記1で説明の導電保護膜を用いることで、アレイ構造における断線の危険性が減るばかりでなくサンプル製作工程の大幅短縮を実現した。また、酸化物ナノワイヤアレイを鋳型とし、これを還元することにより、ナノスケールの原子排出孔アレイを提供する保護膜作製の基礎を確立した。 その他、エレクトロマイグレーションにより作製したAlマイクロワイヤの弾塑性特性を取得し、当該ワイヤの降伏応力がバルク材に比べて20倍高いことを実証した。また原子拡散現象を利用して酸化鉄ナノワイヤアレイを短時間に作製することにも成功している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載のとおり、申請時に計画した研究を遂行し、長い金属マイクロ・ナノワイヤ、高機能断面を有するマイクロ構造体、金属微細ワイヤ/構造体アレイを実現するための基盤となる新規サンプル構造を考案し、具体的に作製したサンプルで鋭意実験中である。
|
今後の研究の推進方策 |
申請書に記載の計画のとおり、研究を推進する。平成25年度(最終年度)は、これまでの研究成果に基づき、創製したマイクロ・ナノ構造体から、申請者らがこれまでに開発しているナノ溶接手法、コイル形成における曲率制御手法、等を駆使して、電磁気的素子、力学的素子、熱的素子を創出し、その利用価値を見出すと共に、応用への弾みをつける。さらに効率的なマイクロ・ナノ構造体の創製と応用指針を策定して、当該分野の発展に貢献することを目指す。
|