研究課題
ゲルやエラストマーに磁性粒子を分散させた材料である磁性ソフトマテリアルに磁場を印加すると、磁性粒子の鎖構造が形成され、弾性率が増加する(MR効果)。天然高分子であるカラギーナンをマトリックスとする磁性ゲルは、弾性率が瞬時に磁場印加前の約500倍も変化する (巨大磁気粘弾性効果)。本研究では、磁性粒子の種類を変えて鎖構造を観察し、MR効果に及ぼす鎖構造の影響を調査した。全ての磁性粒子で磁場を印加すると貯蔵弾性率が増加した。磁性粒子の体積分率を高くするほど貯蔵弾性率の変化量ΔG ’は増加した。鎖構造が発達するためと考えられる。貯蔵弾性率の変化量が大きいカルボニル鉄CI、パーマロイFNは細い鎖が均一に形成されており鎖の本数も多い。弾性率変化量が小さい酸化鉄IO、バリウムフェライトBFは太い鎖が不均一に形成されており鎖の本数が少ない。IO、BFの太い鎖構造はゲル中で形成される2次粒子に起因することがわかった。更に、磁性粒子へのカラギーナン吸着性を調査した。磁性粒子1g当たりのカラギーナン吸着量は、FN、CI、BF、IO順に多くなった。カラギーナンの吸着量が多いほど磁性粒子が2次粒子を形成することがわかった。IO、BFはカラギーナン水溶液中でカラギーナン鎖が磁性粒子表面に吸着する。磁性粒子表面のカラギーナン鎖がゲル化するため、凝集し分散性が悪くなると考えられる。CI、FNはカラギーナン水溶液中でカラギーナンをほとんど吸着しない。ゲル化時にカラギーナン鎖に囚われないため、分散した状態でゲル化すると考えられる。吸着したカラギーナン鎖がゲル化するため、磁性粒子は凝集し2次粒子を形成する。この2次粒子が鎖を形成するため、鎖は太く、本数が少なく、MR効果が小さくなることが明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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科学と工業
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