研究概要 |
微小部品をターゲットとした,プラスチックと金属の異材レーザスポット接合法の開発を目的とする.とくに,接合部寸法の制約から要求される,本質的な接合強度向上のため, (1)溶込部形状,(2)気泡,(3)接合部への加圧力・加振力の影響を明らかにし,適切なプロセス条件を見出す.最終的には,これらの結果をまとめ,力学的およびプロセス的に最適化した,新しい異材接合法を提案する. 平成25年度は,主に,接合実験によりプラスチック/金属異材レーザスポット接合体を作製し,継手の強度特性と接合状態の関係について,接合部および破面の詳細な観察から検討した.また,接合部近傍のプラスチック側に生成される気泡に着目し,力学的モデルにより気泡の影響を評価し,接合強度向上のための接合状態および接合法について検討した.比較的強度の高い接合体の強度試験後の破面観察より,気泡の大きさや密度が接合体の破壊プロセスおよび強度特性に大きく影響を及ぼしていることが明らかとなった.気泡の大きさや密度は,接合部に加圧力や加振力を加えることで変化した.とくに,加振力の付与は,気泡の密度を低下させることが可能であった.周期き裂群および周期楕円孔群を仮定して接合部をモデル化し,接合強度に及ぼす気泡の影響について検討した.気泡の密度および大きさ・形状の影響について,力学モデルによる結果と実験結果は良い一致を示した.すなわち,本提案モデルを用いることにより簡易的に接合強度を評価・推測することが可能である.このモデルと,加圧力および加振力による気泡の生成状態の制御を組合せることで,強度信頼性の高いプラスチック/金属異材接合体を得ることができる.すなわち,本申請課題が目指していた,力学とプロセスの両者を考慮した,強度信頼性の高いプラスチック/金属異材接合方法を提案することができた.
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