研究課題
X線回折コントラストトモグラフィを用いて,多結晶ステンレス鋼の組織を観察した結果,以下の結果が得られた.1. 三次元マッピング法による再構成を行い,本手法の解析手順の妥当性について検討を行った結果,結晶間の位置関係および結晶形状などを詳細に同定できることが分かった.2. 結晶の塑性ひずみを評価する手法を構築するために,試料に対して引張負荷および繰返し負荷を与えながらイメージングを行った.各試験力における引張負荷と回折の拡がり角を比較した結果,弾性変形下では負荷の増加に伴う結晶の回折の拡がり角に変化は見られなかったが,塑性変形下では負荷が大きくなるほど回折の拡がり角は大きくなることが分かった.さらに結晶マッピング法により個々の結晶について引張負荷時における回折の拡がり角の変化を評価できることができ,個々の結晶粒の転位密度や塑性ひずみを評価できた.引張負荷と同様に引張-引張の片振り疲労試験における回折の拡がり角に関するヒストグラムを比較した結果,100 cycles以降,変化が見られなかった.これはステンレス鋼が加工硬化したことで,繰返し負荷で塑性ひずみが生じなかったためであると考えられる.引張-圧縮の両振り疲労試験における回折の拡がり角に関するヒストグラムを比較した結果,繰返し数の増加に伴い,回折の拡がり角が増大した.予ひずみを与ると回折の拡がり角は大きく増加したが,その後の両振り疲労試験後では回折の拡がり角が減少することが分かった.3. 以上より,塑性ひずみが生じ転位密度が増加すると回折角が拡がること,結晶ごとに回折角の拡がり方に差があることがわかった.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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