研究課題/領域番号 |
23360057
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
阪上 隆英 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50192589)
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研究分担者 |
田川 哲哉 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00216805)
鎌田 敏郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10224651)
久保 司郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20107139)
塩澤 大輝 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60379336)
和泉 遊以 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (60610954)
中井 善一 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90155656)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 機械材料・材料力学 / 熱弾性応力計測 / 散逸エネルギ / 疲労き裂 / 非破壊評価 |
研究概要 |
本研究の目的は,鋼構造物の疲労き裂の発生・進展に関わる構造健全性評価を,実働負荷下での応力変動および散逸エネルギ計測結果に基づき行い,これにより的確かつ機動性に富む構造物の維持管理を可能とする「構造健全性トリアージ」を構築することである.これまでに,赤外線計測に基づく熱弾性応力ならびに散逸エネルギの高度計測技術の開発に取り組み,疲労損傷過程における散逸エネルギの計測,実働応力場変動に基づく破壊力学パラメータ評価,実橋梁における疲労き裂検出を行った.今年度は,鋼構造における欠陥発生箇所周辺での実働応力分布,応力変動履歴,き裂開閉口挙動を赤外線計測に基づきその場計測できる手法を開発するとともに,計測された実働応力場からき裂進展に寄与する破壊力学パラメータを直接評価する手法の検討を行った.さらに,散逸エネルギ分布の定量計測に基づく疲労き裂発生・進展評価として,散逸エネルギ放出と疲労き裂発生に関わる現象との因果関係,散逸エネルギに基づく疲労限推定の妥当性,散逸エネルギの定量計測に基づくき裂発生予測の可能性等,学術的に未解明な事項を実験室レベルでの疲労試験を通じて実験的に究明した.また,実橋梁における疲労き裂計測実験により,開発した実働応力計測手法の適用性について検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主要課題である,熱弾性応力計測法による実働応力分布の計測およびこれに基づく破壊力学評価,ならびに散逸エネルギ評価に基づく疲労き裂発生評価に関しては,当初の計画どおり順調に進んでおり,着実な成果があがっている.このことは,論文投稿数および国内学会・国際会議における発表数に反映されている.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成25年度は,これまでに実施した,赤外線計測に基づく熱弾性応力ならびに散逸エネルギの高度計測技術の開発,実験室レベルでの基礎検討として疲労損傷過程における散逸エネルギの計測,実働応力場変動に基づく破壊力学パラメータ評価,実橋梁における疲労き裂検出で得られた成果をもとに,「構造健全性トリアージ」実現のための問題点の抽出ならびにそれらの解決に取り組む.鋼構造物の疲労き裂に関わる構造健全性評価においては,き裂近傍の応力分布とき裂進展性を関連付ける手法の高精度化について検討する.実験室レベルでの実験的検討に加え,現場で得られた欠陥発生箇所周辺での実働応力分布の実験データをもとに,破壊力学パラメータを直接評価し,き裂進展挙動との比較検証を行う.散逸エネルギの計測では,平成24年度に引き続き,散逸エネルギ放出と疲労き裂発生に関わる現象との因果関係,散逸エネルギに基づく疲労限推定の妥当性,散逸エネルギの定量計測に基づくき裂発生予測の可能性等,学術的に未解明な事項を実験室レベルでの疲労試験を通じて実験的に究明する.また,現場における散逸エネルギ計測の可能性についても検証する.さらに,これまでに得られた研究成果を複数の論文にまとめ投稿するとともに,国際会議において発表する予定である.
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