研究概要 |
以下に主要4課題の成果を示す (1)MSOの単結晶構造体および多結晶体の誘電率・圧電特性評価のためのトリプルスケール解析を行った.Ti,ZrおよびMo添加による混晶化による圧電特性向上の可能性を第一原理計算によって探索し,Ti添加MSO混晶が圧電応力特性を52%向上することを確認した.RFマグネトロンスパッタ装置を用い最適成膜条件下で成膜を行い,圧電定数d33 =354.8 pm/Vを持つ薄膜創製に成功した. (2)Si/Ti/Cu/MSOモノモルフ型カンチレバー駆動デバイス創製に成功した.RFマグネトロンスパッタによる成膜においては,入力電力,O2流入量,スパッタ温度,など多くの創製条件があるが,実験計画法および応答曲面法による最適条件探索を行うことで最適条件を見出し高配向のMSO結晶薄膜の成長に成功した.多層膜化では,各層の成膜の間でポストアニールを行うが,温度,保持時間,温度上昇下降速度について検討を加え最良の条件を求めた.積層数の増加に応じて残留分極値および圧電定数d33の向上が確認され,それぞれ10層膜において最大値406.1 pm/Vが得られた.また,5層膜の平均に対してそれぞれ約67%,約82%の向上が示された. (3)Si基板上にTiおよびCu中間層を成膜し,その上にMSOを成膜させることでモノモルフ型カンチレバーを作製し,15Vpp交流電圧印加により数十nmの振動を発生させることに成功した.本モノモルフアクチュエータによるマイクロポンプの作製を試みたが出力不足のために血液搬送を行うまでに至らなかった. (4)ステンレス製カンチレバーの上部にMSO薄膜およびPVDFを成膜したモノモルフ型ハイブリッド振動発電システムを創製し,固定端に加振機により振動を印加した結果,加速度4.5G, 周波数47Hzにおいて発生電圧113μVを得た.出力電力1.29μWを得た.
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