研究課題
これまでの研究の結果,セルロース・ナノ繊維(CNF)をエポキシ樹脂に微量混入・均一分散させれば疲労寿命が顕著に伸びることが確認された.そのメカニズムについては,①CNFにより母材のモードI破壊じん性値が増した,②母材のCNF変性によりCFRPの層間はく離き裂(モードI)疲労亀裂の抵抗力が増した,き裂進展開始の破壊じん性値が顕著に高まった,からと説明されてきた.しかし,CNF含有率が母材の0.3-0.5t%が耐久性を最も高めるとの結果と,上記①,②の結果に対するCNF含有率間にかい離があった.すなわち,CNF含有率が多い方が疲労寿命延伸効果は少ないことと対応しない.そこで,層間モードII荷重に対するCNF添加の効果を調べた.その結果,CNF含有率がある程度高くなるとモードII破壊じん性値が減少することが分かった.しかし,①,②や,モードIIの結果はCNFによる母材の「物理的変性」効果を明確に説明できていない.そこで,微細繊維の種類を変え,一連の疲労試験を行った.CNFに替え①ヤング率/繊維径が小さく均一なナノPVA繊維(nPVAF),②剛性の高い直径500nmのガラス繊維(GF05),③直径700nmのPET繊維等をエポキシ母材中に均一分散させた.その結果,いずれの微細繊維であっても疲労寿命は顕著に伸びることが明らかとなった.中でも繊維径のもっとも細いnPVAFではCNFの半分以下の添加量で疲労寿命の顕著な延伸効果が認められた.次いで,カーボン繊維を母材中に1本,2本埋没させた試験片の引張り試験を行った.その結果,適切な(強すぎず,弱すぎず)樹脂と繊維間の接着強度が疲労寿命延伸効果のカギであることが分かった.また,ニーダでパルプを解繊し,これをエポキシ樹脂に入れることにより,CNF効果が得られることも予備的に確認した.プリプレグも製造可能である.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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