研究課題/領域番号 |
23360066
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
丸尾 昭二 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (00314047)
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キーワード | マイクロ光造形 / 精密部品加工 / セラミックス / マイクロマシン |
研究概要 |
本研究では、サブ50nmの加工分解能で数cmサイズの3次元マイクロ・ナノ構造体を自在作製できる「新方式ラージスケール・3次元ナノ光造形モールディング技術」を開発し、さまざまなセラミックス材料からなるマイクロデバイスの創製を目指している。本年度は、まず、新たに開発する「光不活性化反応を利用したナノ光造形法」に用いる新規光硬化性樹脂の探索を行った。具体的には、光硬化性樹脂に用いるモノマーおよび光開始剤を選定し、その混合比率を変更して、最も効率よく光不活性化反応を誘起し、加工分解能を向上できる開始剤濃度を選定した。さらに、光硬化用レーザー光と光不活性化用レーザー光の焦点間距離の最適距離を実験的に調査し、露光条件を最適化した。また、セラミックス微粒子材料として、バイオセラミックスの一種であるβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を用いて高濃度スラリーを作製し、マイクロ光造形モールディングによって3次元形状を有するバイオセラミックススキャフォールドを作製した。具体的には、60μmの細孔をもつ立方体格子形状や耳小骨モデルなどの複雑な3次元形状のスキャフォールドなどを作製した。また、圧電セラミックスとして、鉛フリーのチタン酸バリウム微粒子(直径400nmおよび150nm)を用いて、高濃度スラリーを作製し、らせんばね形状のマイクロ発電素子を試作した。作製したらせんばね形状に電極を付与し、分極処理を行った後に、圧電性を評価した。その結果、ばねの軸方向に対して約400gfの荷重を加えることによって、約400mVの電圧出力を確認した。また、軸に垂直な水平方向への負荷に対しても電圧出力を確認した。このことから、3次元的な圧電セラミックス構造体を用いることで、多方向からの力を電力に変換できることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ光造形法の開発に関しては、光硬化性樹脂の最適化実験において、加工分解能を向上と十分な機械的強度を持ち合わせた光硬化性樹脂の調合に予想以上の時間がかかり、当初計画の造形システムの立ち上げまで到達しなかった。しかしながら、バイオセラミックスを用いたマイクロ光造形モールディングの研究が予定以上に進展し、複雑形状のバイオスキャフォールドを作製することができた。また、次年度以降の主要な研究課題としていた圧電セラミックスを用いた発電素子の試作実験においても、3次元的ならせんばね形状の試作に成功し、圧電性を確認できた。これらの成果は計画以上に進展した成果である。以上から、総合的にはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
光不活性化反応を用いたナノ光造形法の確立に向けて、本年度に最適化した光硬化性樹脂材料を用いて、加工分解能の評価を行う。さらに、造形条件を最適化し、複雑な3次元形状の造形を試みる。また、圧電セラミックスを用いたマイクロ光造形モールディングの実験においては、従来の1光子吸収に基づく光造形法で作製したミリスケールモデルに加えて、2光子吸収に基づく光造形法で作製したマイクロスケールの微細なモデルを用いて、3次元マイクロ発電素子の試作を試みる。また、作製したセラミックス構造体の焼結条件や分極条件などを変えて、圧電性の評価実験を行い、発電効率が最適となる実験条件を探索する。そのために、圧電特性を評価する実験システムを構築する予定である。
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