研究概要 |
本課題は,ナノ微粒子やナノ材料を基板表面にドット状、ライン状、アレイ状に一括で高速高精度に堆積できる微細堆積法の開発に関するものである。レーザートラップ技術と電気泳動堆積法を組み合わせた全く新しい方法により、個々のドットは1アトリットル(aL=10-18L)から安定に塗布・堆積できるものであり、様々な種類のナノ微粒子の堆積加工に適用できる可能性がある。 25年度は前年度までに開発したナノ微粒子を立体的に堆積させる技術を用いて造形した立体微細構造物に対して、機械物性を評価する手法を実現した。 本研究では堆積するナノ微粒子として直径数nmの金コロイド微粒子を用いた。ナノ微粒子が堆積される導電性基板は透明導電膜(ITO)がコートされたカバーガラスを用いて溶液セルを作製し、ナノ微粒子を含むコロイド溶液を充填した。レーザートラップによりナノ微粒子をビームスポットに引き寄せ、基板表面上に集め,電気泳動により基板表面に堆積する。この状態で基板にナノ微粒子を堆積させながらビームスポットを基板垂直方向に動かすことでナノ微粒子を立体状に積み上げ、ピラー状立体構造物を形成した。造形したピラー状の立体構造物に関して電子顕微鏡(SEM)の真空試料室内で稼働するナノマニピュレータを開発し、機械物性を評価した。具体的には、ばね定数が既知の原子間力顕微鏡カンチレバーを用いてピラー状構造物に既知の荷重を印加し、その際のたわみ量をSEM観察して、ピラーのばね定数を測定し、ヤング率を算出した。これらの結果より、得られたヤング率は金のバルク値と比べて低いことや、堆積中の作成条件によりヤング率が異なることが分かった。
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