研究課題
世間にはどうやって作られたのか予想もつかないような超複雑な形をもつ芸術品や工芸品、あるいは職人芸というような工業品が存在する。そのような経験と技能が支配する形状を技術として定着し、工業品でありながら技能者によるものと同様なレベルの加工(巧妙加工:Dexterous Machiningと命名)を、多軸制御複合加工機で実現することが本研究の目的である。近年、発展途上国の追い上げによって我が国の製造技術に肉迫してきている状況を見るに、より付加価値の高い生産・製造を実現してゆくことは技術立国として必須の課題となっている。その一つの解として「巧妙加工」を提唱しているが、本研究では巧妙加工を具体的に実現するシステムを3カ年に渡って開発する。初年度は第1段階として、旋削加工とフライス加工のできる1主軸の複合加工システムで複数の曲り円柱からなる複雑形状の巧妙加工を試みた。2年度目の第2段階では、5軸制御化と2主軸による把持方向取換え作業のできるシステムを活用し、入れ子形状と鎖形状の創成を実現した。また、超精密マイクロ加工でも工具を回転させながら摩耗を低減してマイクロ溝の創成も試みた。最終年度の第3段階では、材料の面から巧妙加工に取り組み、非常に柔らかくて通常では大きく変形して加工できないうえに固定も困難な複雑形状の創成に挑戦した。このように、職人技と同等以上の高付加価値加工技術を目指して、超複雑形状と超柔軟材の巧妙加工システムを研究開発し、その基礎技術を確立できた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
日本機械学会論文集(C編)
巻: 79-808 ページ: 4535, 4542