研究概要 |
本研究課題では,固定電極から成る単純構造で低い電圧により安定に液体の対流を発生する交流電気浸透流を応用したマイクロ流動源を提案,開発し,その応用展開を図る.平成23年度に得られた主な成果は以下のとおりである. (1)偏流板を用いたマイクロ流動源の提案,試作および実験的評価: 偏流板により交流電気浸透流の対流を一方向の流れに変換するマイクロ流動源を提案,試作し,その特性について実験的に評価した.MEMSプロセスを用いて試作したデバイスの流路主要部の大きさは1mm×0.3mm×0.06mmである.脱イオン水を作動流体として流速を測定し,その結果を基にFEMソフトウェアによる流体力学シミュレーションにより吐出流量を求めた.以上の検討を偏流板の形状およびサイズ,流路および電極のサイズ,および作動流体の種類を変えながら行い,本デバイスの最適構造を明らかにした.なお,本成果は日本機械学会2011年度年次大会において発表した. (2)細管-平板電極対を用いたマイクロ流動源の提案および基礎的検討: 細い管状電極と平板電極を対向配置した電極対を用いたマイクロ流動源を提案,試作し,基礎的検討を行った.発生する速度場を詳細に検討するため,平板とスリット状電極から成る2.5次元構造のマイクロ流動源をMEMSプロセスで試作した.電極ユニットの流路主要部の大きさは0.35mm×0.2mm×0.05mmである.脱イオン水を作動流体とし,購入したPIVソフトウェアを用いて速度分布を測定した.その結果をFEMソフトウェアを用いたシミュレーション結果と比較検討し,基礎的な知見を得た.
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