研究課題/領域番号 |
23360085
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶島 岳夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30185772)
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研究分担者 |
竹内 伸太郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50372628)
大森 健史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70467546)
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キーワード | キャビテーション / 気泡 / 気液界面 / 固気液接触線 / 計算流体力学 |
研究概要 |
固体壁近傍におけるキャビテーション現象のふるまいを解明することを目的として、(1)界面の運動を高精度に捕獲し、熱および物質移動を完全に保存則に整合させ、さらに固体壁面の濡れ性を表現する、(2)相変化を伴う気液界面での分子論に基づく熱および物質移動理論を上述の高精度捕獲法に組み込む、の2項目に関する要素技術の検討を進めた。まず、高精度かつ高機能な界面追跡法に関しては、時間スケールが極めて短く、非平衡性の強いキャビテーション気液界面に対応するため、Volume of Fluid (VOF)法における気液界面の再構成法、界面形状の幾何学的表現の精度を高めた。特にVOF関数からの界面形状表現によりスカラー流束を合理的に算出する方法を開発した。次に、蒸発・凝縮を組み込んだ界面追跡法として、Navier-Stokes(NS)方程式に対する境界条件は連続体理論から導くことはできないため、分子論的に導出された理論式を用い、参照データがある水平円管への凝縮問題に適用して有用性を確認した。同時に、VOF法を一般曲線座標系に適用できる形式とし、固体表面近傍の熱流動に対する解像度を著しく向上した。また、固気液接触線の挙動解析法については、保存性に優れたVOF法を基盤とし、局所細分化によるPhase Field (PF)法の結合を試み、表面張力と濡れ性に対して人為的な仮定を導入することなく、それらの界面物性を表現することを実現した。以上は、固体壁近傍に生じるシート状もしくは単独気泡のキャビテーションのふるまいを解析するために寄与する成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気液界面の運動の捕獲および固体壁面での接触線の扱いにおいては、当初の趣旨に沿った進展があった。しかし、相変化(蒸発・凝縮)に関してはモデルの導入がたいへん難しく、高速で大変形する気液界面を固定格子で捕獲しながら考慮するには至っておらず、液膜の成長と流下という穏やかな問題の扱い留まった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、研究期間4年を前半・後半それぞれ2年に大別しており、来年度は前半の仕上げ段階となる。理想的には、分子論的に導出された相変化の理論式を高速で大変形する気液界面に適用できれば前半の目標は達成されるが、非平衡現象を対象として不安定な数値計算を強いられている。この問題を解決するため、安定化手法の導入など、当初の計画にはなかった研究項目を追加する。
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