研究課題/領域番号 |
23360085
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶島 岳夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30185772)
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研究分担者 |
竹内 伸太郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50372628)
大森 健史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70467546)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | キャビテーション / 気泡 / 気液界面 / 相変化 / 計算流体力学 |
研究概要 |
固体壁近傍におけるキャビテーション現象のふるまいを解明することを目的として、① 界面の運動を高精度に捕獲し、熱および物質移動を完全に保存則に整合させ、さらに固体壁面の濡れ性を表現する、② 相変化を伴う気液界面での分子論に基づく熱および物質移動理論を上述の高精度捕獲法に組み込む、の2項目に関する要素技術の検討を進めた。 蒸発・凝縮を伴う気液界面において、ナヴィエ・ストークス方程式に対する境界条件は連続体理論から導くことはできないため、分子論的に導出された理論式を導入した。まず、参照データのある凝縮問題に適用して有効性を確認し、計算で捕獲された界面に適用する方法を検討した。しかし、時間スケールが極めて短く非平衡性の強いキャビテーション気液界面に対応するためには、時空間の解像度を著しく高める必要のあることがわかり、その問題の解決は次年度の課題として残った。 シートキャビテーションのリエントラントジェット、気泡と壁面の衝突を扱うため、固気液接触線を高精度かつ安定に計算する方法として、保存性に優れたVOF 法を基盤とし、Phase-Field法による多機能化、固体接触線を追跡する方法を開発した。ただし、この方法もキャビテーション気液界面に適用するには計算負荷が高いため、壁面近傍での単独気泡の振る舞いに特化した解析方法として効率化する課題が残った。 一方、単独翼周りのキャビテーション流れの非定常解析については、新規のキャビテーションモデルの組み込みを除けば、乱流モデルや計算方法の改良により、従来よりも実験結果によく一致する結果が得られるようになり、揚力のブレイクダウン特性の再現に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
翼の揚力のキャビテーションによるブレイクダウンについては、乱流モデルと圧縮流れコードの改良により、従来よりも実験結果とよく一致する結果が得られた。しかし、壁近傍での相変化や濡れ性の扱いのために開発している手法は非常に高い時空間解像度を要することが判明し、穏やかな凝縮・蒸発の計算は実現できているものの、高速で大変形する気液界面を固定格子で捕獲し、界面現象を再現するには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、研究期間4年を前半・後半それぞれ2年に大別しており、来年度は後半に入る。翼周りの流れ解析に関しては、前半の研究により格段に精度が向上した。前半に検討したキャビテーション相変化モデル、界面現象計算法はいずれも高い計算負荷を要するものであり、上記の翼周りの計算に直接組み入れる見通しは立っていない。そこで、数値計算の安定化、解析対象の粗視化など、実用性を高めるための研究項目を追加し、キャビテーション流れ解析システムとしての完成度を高めてゆく。
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