研究課題/領域番号 |
23360087
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
関 眞佐子 関西大学, システム理工学部, 教授 (80150225)
|
キーワード | 血小板 / 凝集 / マイクロチャネル / 血流 / PTV |
研究概要 |
本研究では、流れ中における血小板の微視的挙動に対して、レーザ共焦点蛍光顕微鏡システムによる高速度・高感度計測と数値シミュレーションの両面から流体力学的解析を行い、流れ中における血小板の凝集過程について調べる。今年度は、流路内流れ中における血小板模擬粒子の挙動の計測と血小板運動を取り扱う数値計算手法の確認を行った。 まず、赤血球サスペンションに模擬血小板として蛍光粒子(直径1μmあるいは3μm)を浮遊させた流体をマイクロチャネルに流し、レーザ共焦点蛍光顕微鏡システムを用いて、血小板模擬粒子の運動を計測した。マイクロPTV法を用いて速度分布を求めると共に、流れに対して垂直方向(y方向)への粒子の移動量を定量化する為に、個々の粒子の軌跡を解析して分散係数Dyy=<|Δy|^2>/2Δtを評価した。 ここで、Δyは、時間間隔Δtの間の粒子のy方向への移動量であり、<>は集団平均を表す。その結果、血流中の血小板模擬粒子の分散係数は流路中央付近と流路壁のごく近傍で小さく、流路壁から少し離れた位置で最大値をとった。この傾向は、流体中に赤血球を含まない場合には見られないので、赤血球と血小板模擬粒子との相互作用に起因することが分かった。次に、数値シミュレーションでは、流れ中における変形粒子の運動を取り扱うことのできる数値スキームを2次元流れに適用し、計算条件の検討と誤差評価を行なった。微細加工機を用いた樹脂の切削によるマイクロチャネルの製作に関しては、流路内壁にわずかでも凹凸があるとそこに血流中の成分が溜まるなどして流れに影響を与えることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
流れ中における血小板模擬粒子の挙動の計測、および数値計算スキームの確認ともに計画通りに進んだ。ただし、マイクロチャネルの製作に関して慎重に検討した結果、複雑な形状では十分な精度を得るのが難しいことが分かり、自作が困難である場合に対して当初計画していた通り、PDMS(ポリジメチルシロキサン)製のマイクロチャネルチップの製作を専門業者に依頼することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後もおおむね当初の計画通り研究を進める予定である。ただし、マイクロチャネルの製作については、どのような形状のものが最も本研究の目的である血小板の凝集過程を調べる上で有効であり、製作可能かを検討しながら研究を進める。
|