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2012 年度 実績報告書

血小板凝集ダイナミクスの流体力学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23360087
研究機関関西大学

研究代表者

関 眞佐子  関西大学, システム理工学部, 教授 (80150225)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワード血小板
研究概要

本研究では、流れ中における血小板の微視的挙動に対して、レーザ共焦点蛍光顕微鏡システムによる高速度・高感度計測と数値シミュレーションの両面から流体力学的解析を行い、流れ中における血小板の凝集過程について調べる。今年度は、流路内流れ中における血小板模擬粒子の分布に関する実験と、流れ中における変形粒子の運動について数値シミュレーションを行った。
実験では、(a) 円管内流れ中の浮遊粒子の分布と(b)マイクロチャネル内流れ中の血小板模擬粒子の分布の計測を行った。(a)では、円管内流れに剛体球を浮遊させ、下流における粒子の動径方向の分布を調べた。その結果、粒子は下流で一定の動径位置に多く集まる傾向があり、その位置はレイノルズ数の増加とともに管壁に近づくことが分かった。 (b)では、赤血球サスペンションに模擬血小板として蛍光粒子(直径3ミクロン)を浮遊させた流体をPDMS製マイクロチャネルに流し、レーザ共焦点蛍光顕微鏡システムを用いて粒子分布を計測した。粒子は入口付近では流路断面内でほぼ均一に分布するが、下流に進むにつれて流路壁近傍に多く集まることが分かった。この傾向は赤血球の体積分率が大きいほど大きく、最終的な粒子分布に達するまでの距離も赤血球体積分率が大きいほど短くなることが分かった。このことから、流路内における血小板の分布には赤血球との相互作用が重要な役割を果たすことが示唆された。
数値シミュレーションでは、フロントトラッキング法を用いて、大きさの異なる2種類の液滴をさまざまな割合で混ぜて流路に流した場合の数値解析を行った。2種類の液滴の表面張力が等しいならば、大きい粒子が流路中央に集まり、小さい粒子が流路壁付近に多く集まることが分かった。このことから、血小板の流路壁近傍への集中には赤血球と血小板の大きさの差異が重要な要因となっている可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

流路内流れ中における血小板模擬粒子の断面内分布に関する実験と、流れ中における変形粒子の運動の数値シミュレーションともに、おおむね計画通りに進んだ。ただし、当初計画していた複雑な形状のマイクロチャネルは製作が困難であるだけでなく、十分な空間・時間精度をもつ測定が難しいことが分かった。

今後の研究の推進方策

今後もおおむね当初の計画通りに研究を進める予定である。ただし、実験で用いるマイクロチャネルの形状については、当初計画していたものより単純な形状のマイクロチャネルを用いて当初の計画に従って実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Charge effects on the hindered transport of macromolecules across the endothelial surface glycocalyx layer2012

    • 著者名/発表者名
      Sugihara-Seki, M., Akinaga, T ., O-tani, H
    • 雑誌名

      Biorheology

      巻: 49 ページ: 301-316

    • DOI

      10.323/BIR-120620

    • URL

      http://hdl.handle.net/10112/7854

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Charge effects on hindrance factors for diffusion and convection of solute in pores II2012

    • 著者名/発表者名
      Akinaga, T ., O-tani, H., Sugihara-Seki, M
    • 雑誌名

      Fluid Dynamics Research

      巻: 44 ページ: 065504

    • DOI

      10.1088/0169-5983/44/6/065504

    • URL

      http://hdl.handle.net/10112/7861

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fluid mechanical and electrostatic study on the osmotic flow through cylindrical pores2012

    • 著者名/発表者名
      Akinga, T ., O-tani, H., Sugihara-Seki, M
    • 雑誌名

      Journal of Biorheology

      巻: 26 ページ: 3-10

    • DOI

      10.1007/s12573-012-0049-4

    • 査読あり
  • [学会発表] 流路壁付近における血小板模擬粒子のふるまい

    • 著者名/発表者名
      田中慎之助
    • 学会等名
      第35回日本バイオレオロジー学会年会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟)
  • [学会発表] Hydrodynamic and electrostatic study of charge effects on solute transport across the endothelial glycocalyx layer

    • 著者名/発表者名
      Masako Sugihara-Seki
    • 学会等名
      14th International Congress of Biorheology
    • 発表場所
      イスタンブール(トルコ)
  • [学会発表] 半透膜孔内の脈流の分子動力学計算

    • 著者名/発表者名
      二宮隆弘
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2012
    • 発表場所
      高知大学
  • [学会発表] フロントトラッキング法による2次元の液滴分散系シミュレーション

    • 著者名/発表者名
      牧野真人
    • 学会等名
      第2回ソフトマター研究会
    • 発表場所
      九州大学
  • [学会発表] フロントトラッキング法による平板間の液滴分散系シミュレーション

    • 著者名/発表者名
      牧野真人
    • 学会等名
      第60回レオロジー討論会
    • 発表場所
      名古屋大学
  • [学会発表] 円管内ポアズイユ流れ中の球形粒子の動径方向分布

    • 著者名/発表者名
      名村和平
    • 学会等名
      第17回関西大学先端科学技術シンポジウム
    • 発表場所
      関西大学
  • [学会発表] 赤血球サスペンション流れ中の血小板模擬粒子の運動

    • 著者名/発表者名
      田中慎之介
    • 学会等名
      第17回関西大学先端科学技術シンポジウム
    • 発表場所
      関西大学
  • [学会発表] サイズの異なる液滴によるマージネーション

    • 著者名/発表者名
      牧野真人
    • 学会等名
      第62回理論応用力学講演会
    • 発表場所
      東京工業大学
  • [学会発表] 管内流れ中の粒子の断面内分布

    • 著者名/発表者名
      三浦和真
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学
  • [学会発表] 剪断を伴う球殻内熱対流の渦構造の変形

    • 著者名/発表者名
      二宮隆弘
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学
  • [備考] 学術情報システム

    • URL

      http://gakujo.kansai-u.ac.jp/serach/index.jsp

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公開日: 2014-07-24  

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