研究課題/領域番号 |
23360088
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
二川 正敏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター 物質・生命科学ディビジョン, 研究主席 (90354802)
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研究分担者 |
京藤 敏達 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (80186345)
沖田 浩平 日本大学, 生産工学部, 准教授 (20401135)
羽賀 勝洋 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター 物質・生命科学ディビジョン 中性子源セクション, 研究主幹 (20354730)
粉川 広行 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター 物質・生命科学ディビジョン 中性子源セクション, 研究副主幹 (00354738)
涌井 隆 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター 物質・生命科学ディビジョン 中性子源セクション, 研究員 (50377214)
直江 崇 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター 物質・生命科学ディビジョン 中性子源セクション, 研究員 (00469826)
長谷川 勝一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター 物質・生命科学ディビジョン 中性子源セクション, 研究副主幹 (90391333)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 圧力波 / マイクロバブル / 水銀 / キャビテーション / 損傷 |
研究概要 |
水銀中にマイクロバブルを注入し,核破砕中性子源の水銀標的内に生じる圧力波を低減するメカニズムを定量的に究明し,中性子源の高出力化の障壁となるキャビテーションによる損傷を低減するための防護策を構築することを目的とした.本研究2年目における成果を以下に示す. 【壁面近傍の流動泡群分布】水銀中で発生する圧力波をガス膜で吸収し,壁面でのキャビテーションの発生を防ぐための検討として,水銀標的に実装可能なガス膜発生部の形状や流動条件を検討すると共に,水銀ループ壁面でのガス膜を可視化するための流路を製作した.また,水銀実験に先だってガス膜生成に関する水実験を実施し,ガス膜生成に効果的なガス注入部周辺の壁面形状について系統的に調べ,壁面形状とガス膜生成挙動に関する知見を得た. 【壁面近傍流れ場でのキャビテーション気泡の成長・崩壊挙動の詳細解析】狭隘流路内に発生するキャビテーション気泡の挙動と,流路幅の関係について明らかにするための装置を整備し,気泡挙動を高速撮影により調べる水試験に着手した.また,狭隘流路内壁において,キャビテーション損傷により貫通する損傷形態と圧力波伝ぱ挙動に関する数値解析と簡易モデル実験を行い,圧力波に励起される振動特性から損傷の定量評価を試み,適用限界を明らかにした. 【気泡注入条件と固体壁面損傷の相関評価】気泡注入量と壁面損傷の相関について,前年度実施した国際共同実験の損傷データを精査し,損傷面積率には顕著なガス注入量依存性が見られないが,個々のピット深さが注入量と伴に減少することを確認した.すなわち,個々のキャビテーション気泡の生成率に比して気泡崩壊に伴い生じる局所衝撃力がガス注入により低下することを示唆している.さらに,注入ガス気泡の主たる固有周期より短い負圧持続時間に対する損傷低減効果を調べるために,流動及び気泡注入下での超音波ホーンによる水中損傷実験を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水銀標的の照射後試験により,材料中の介在物によって残強度が著しく低下する可能性があることが米国との技術打合せで明らかとなった.また,標的容器は圧力波による超高サイクルの繰返し負荷を受けるため,介在物やキャビテーション損傷を起点とした疲労破壊が懸念される.そこで圧力波に対する超高サイクルの疲労強度を調べるための試験を追加したが,おおむね順調に進展している.また,気泡注入によって圧力波を低減すれば,標的容器の疲労寿命を延ばすことが可能となる.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施した国際共同実験で得た損傷の詳細観察が概ね完了し,水銀標的で注入可能な気泡径の固有周期と比較して,短い負圧持続時間に対する気泡の効果が明らかになってきた.今後は注入気泡の固有周期に対して短い負圧持続時間に対する水中での損傷実験を継続すると共に,気泡注入に加えてガス膜の生成による圧力波低減化技術について検討する.
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