本研究では燐光粒子の燐光寿命を利用し,1台のUVレーザーと高速度カメラで,共通の画像から任意の作動流体の温度と速度を二次元高精度同時計測する手法を確立する.本手法の基盤情報となる燐光の温度依存性に関するデータベースを構築する.また,シミュレーション画像を作成し,これを用いた精度評価を行う.更に温度速度解析プログラムの高度化を実施する.本研究では開発手法を,内燃機関シリンダ内の温度分布,速度分布の計測に適用し,燃焼効率向上やHCCI燃焼方式の高度化に寄与することも目的の一つとしている. これらの研究目的達成に向けて平成25年度はまず,シミュレーション画像の作成プログラムを改良し,開発手法の温度速度評価精度を分析した.持続的に発光する燐光粒子を高速度カメラで連続的に撮影するため,通常のPIVと異なり流れ方向に伸びた粒子像となる.例えば,この粒子像をPIV解析することによる誤差を評価した結果,露光時間内の粒子像移動量が2.5μs以下であれば,通常のPIVと同程度の速度解析精度を得られることを明らかにした.その他,燐光寿命と露光時間との関係や温度勾配などが温度測定精度に与える影響を調べた. その他,温度速度解析プログラムを高度化し,循環気流を用いた基礎実験に適用し,加熱円柱周りの流れなどの解析に適用できることを確認した.また,新たに数種類の蛍光体粉末を入手し,その燐光スペクトル,発光強度,燐光寿命の温度依存性について明らかにした.これらのデータをまとめるとともに研究発表,招待講演等を行った.
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