近年のナノスケールの流体システムに関する材料合成,実験計測,理論解析技術の進歩は10ナノメートルより小さい流路内部のイオン移動を体系的に研究することを可能にしている.このように小さな系では,大きな系では見られないような特異なイオン移動現象が見られる.10ナノメートよりも小さい流路におけるイオン移動の研究は,細胞におけるタンパク質のイオンチャネルを模倣するような人工イオンチャネルを探索したり,高エネルギー密度の燃料電池におけるプロトン交換膜を探索したりする機会を提供する.この研究では,規則的な細孔構造をもつメソポーラスシリカ内部を流れるイオン流について実験計測と理論解析を行った.
|