研究課題/領域番号 |
23360093
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鹿園 直毅 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30345087)
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研究分担者 |
原 祥太郎 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (10401134)
梅野 宜崇 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40314231)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 燃料電池 / 燃料極 / 数値シミュレーション |
研究概要 |
本研究では,固体酸化物形燃料電池(SOFC)のニッケル/イットリア安定化ジルコニア(Ni/YSZ)燃料極の収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)により再構築した3次元構造を取得した.ニッケル,YSZ,空隙の各相の相界面をレベルセット関数により表現し,界面曲率や三相界面接触角を定量化する手法を開発中である.電極における電気化学反応の活性点である三相界面において,ニッケル,YSZ,空隙の各相の接触角を正確に導出するためには,三相界面に垂直な平面を定義する必要があるが,そのために本研究では,ラグランジュの未定乗数法を用いて局所三相界面方向ベクトルを算出する手法を開発中である. 続いて,SOFC電極多孔構造の焼結プロセス中の形態変化を予測するための数値シミュレーションコードとして,フェーズフィールド法およびカイネティックモンテカルロ法を取り上げることとした.両者の計算負荷や計算精度を比較することで,目的に応じた数値シミュレーションの使い分けを行うことを想定している.計算において必要となる拡散係数や表面エネルギーといった詳細な計算パラメーターを,第一原理計算,分子動力学系s何,および実験結果に基づいて評価および検証している.実験では,燃料極を構成するニッケル,酸化ニッケル,YSZの単体粉末ならびに混合粉末を用いた焼結実験を開始した.昇温速度を変化させることで,焼結過程において重要となる活性化エネルギーの導出が可能となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レベルセット法による三相界面における接触角算出方法について,その精度を向上させるための対策を行い,実現できる見込みが得られた.ニッケル焼結の数値シミュレーション手法としてフェーズフィールド法およびカイネティックモンテカルロ法に注力することに決定し,その計算に必要となるパラメータに関して,第一原理計算,分子動力学,および実験による導出および検証を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年8月に,加湿された還元雰囲気中でのニッケル焼結実験において,従来用いられていたガスシール材のガラス中のシリカ成分が揮発し,ニッケルと反応する可能性が判明した.その影響を取り除くために,不活性な金を用いたガスシールを行う必要が生じた.不純物の影響の無い実験を行うことが,数値シミュレーションにとって不可欠である.そのための実験として25年度に継続して実験を行った.
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