研究課題/領域番号 |
23360107
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小菅 一弘 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30153547)
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研究分担者 |
衣川 潤 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90612523)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 人間機械システム / 確率論的協調メカニズム / パートナロボット / インタラクション / ロボットアーム |
研究概要 |
本研究課題は,自動車等の生産現場において組立工程などの産業用ロボットによる自動化が困難な工程において,ロボットが作業者を適切に支援することによって,作業者の負担軽減や作業ミスの未然防止を行うことを目的としている.本年度は,大型部品搬送システムの検討・開発および重量物搬送システムの検討・開発を進めた.また,ロボットへの部品・工具供給システムの開発を行った.本年度の成果は次のとおりである. 1.本研究課題において物理的インタラクションシステムを開発するにあたり,より多様な作業支援パートナロボットを開発する必要が生じたため,新たに大型部品搬送システムの検討・開発を進めた.このシステムは搬送対象部品をこれまでの作業支援パートナロボットと比べて大型の部品としており,作業者はロボットにより搬送された部品そのものを直接受け取り作業を行う.よって新たな課題として,搬送部品の作業者への手渡し動作が挙げられる.この手渡し動作は作業者と息の合ったタイミングで行われる必要がある.これらの機能を実現するための技術について検討を行い,システムの開発を進めた.現在は試作機がおおよそ完成し,動作確認まで終えている. 2.また,上記の理由から重量物搬送システムについても検討・開発を進めた.このシステムでは作業者が重量物の搬送を行うためのアシストと組付けを行う際の作業支援を行う.これらの機能を実現するために,ロボットには自動で重量物を運搬する自律動作と作業者の操作に基づいて動作する協調動作が求められる.これらの機能を実現するメカニズムについて,モックアップの試作を行い検討を進めた. 3.実際の製造ラインへの導入実験を行うにあたり欠かすことのできないロボットへの部品・工具を供給するためのシステムの開発を行った.これにより,評価実験を行うために必要な作業支援パートナロボットを構成するハードウェアが一通り揃った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,研究開発の過程において,より多様な工程へ適用可能なシステムの開発を行う必要が生じたため,そのハードウェアの開発を優先して行った.当初の予定とは開発の順序が前後するが,これは最終年度までに達成する予定の複数台ロボットへの拡張を行うために必要な開発項目であるため,全体としての進捗に遅れは生じていない.また,ロボットへの部品・工具供給システムが完成したため,導入実験を行うために必要なハードウェアが揃ったことから,本研究は,おおむね順調に進展していると評価できる状態にある.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,物理的インタラクションシステムの開発として,操作力意図理解手法の開発および知的衝突安全システムの開発を行う予定であったが,開発過程において,より多様な工程へ適用可能なシステムの開発を行う必要が生じたため,そのハードウェアの開発を優先して進めた. 今後は,まず複数台ロボットへの拡張を視野に入れたシステムの検討・開発を行う.システムの検討を行う上で,物理的インタラクションシステムの開発についても同時に検討し,開発を進める.これらは適宜実作業を対象として評価実験を行い改良を加える.また,作業者の意図理解手法を開発することで適応的な動作計画を行う衝突安全システムを構築することを重点課題として進めることに変わりはない.
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