研究課題/領域番号 |
23360108
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
峯田 貴 山形大学, 理工学研究科, 教授 (50374814)
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研究分担者 |
熊木 治郎 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00500290)
古屋 泰文 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (20133051)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | AFM / デュアルカンチレバー / 磁性薄膜 / 近接探針 / ナノ加工 / その場計測 / 低ノイズ変位機構 |
研究概要 |
原子間力顕微鏡(AFM)で分子像を観察しながら機械的ナノ加工を施すデュアルAFMナノプローブ開発を目的とし,Siナノ探針の近接形成および磁性薄膜アクチュエータ搭載デュアルカンチレバーの開発を行い,ナノ加工および計測の基礎的な評価を行った。得られた成果は以下の通りである。 1. デュアル近接プローブの設計および作製 Si超微細トレンチエッチング,スピンオングラス(SOG)をによる埋込,化学機械研磨(CMP),および結晶異方性エッチングを用いた自己整合プロセスによる近接探針形成法を開発し,ギャップの拡大を抑制してデュアルナノ探針を500nm以下に近接させて精密かつ安定に形成することを可能にした。種々の磁性膜をスパッタ成膜したデュアルSiカンチレバーを形成し,FePd膜は薄膜化に伴って磁歪効果が低下して磁力(引力)が支配的となり,また,Ni膜では膜厚1000nmで逆磁歪効果により500nm以上のカンチレバー先端変位が得られることを見出した。膜応力によりカンチレバーに数ミクロンの初期たわみが発生することを確認し,デュアルカンチレバー双方に同様の磁性膜パターンを形成して初期たわみを揃えた構造設計とし,カンチレバーを直交配置することで,外部磁場の印加方向の制御によって片方ずつ個別の変位制御を可能とした。 2. AFMプローブによるナノ加工・計測手法の確立 マイカ基板上に形成したイソタクチックポリメチルメタクリレートをシングルAFMプローブにより高温下でタッピング観察し、ガラス転移温度を数十度超えると分子の運動が活発になり分子鎖の凝集が始まることを確認し,本サンプルがAFMナノチップ先端の影響が波及する効果を系統的に検討するモデルになりうることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
探針形成については,新しく開発した形成プロセスにより,当初の予想を超える精度で500nmギャップの近接ナノ探針を安定形成することを可能とした。カンチレバー駆動については,前年までに磁力(引力)による駆動を可能とし,さらに薄膜化した場合の磁歪効果発現についても検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度まで得られた成果を基に,デュアルAFMプローブの完成度を上げて試作開発して行く予定である。 研究を進める中で,FePd膜を薄膜化していった場合には磁歪効果が低下して磁力(引力)による変形が支配的となることが判明した。AFMカンチレバーとして実用上は十分な変位が得られているが,磁歪効果を得られる薄膜形成条件の検討も並行して進めて行く予定である。
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