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2011 年度 実績報告書

光応答性アクティブサスペンション用材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23360109
研究機関東京農工大学

研究代表者

渡辺 敏行  東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10210923)

研究分担者 戸谷 健朗  東京農工大学, 大学院・工学府, 技術職員 (50397014)
キーワード高分子 / 光異性化 / Troidal構造 / 光誘起粘弾性材料 / 粘性係数
研究概要

本研究では半屈曲性高分子がもつ外的要因によるtroidal構造への転移を利用した新たな光応答性材料の創製を目標とし、実験を行った。4,4-diaminoazobenze(以下DAA)と4,4-diaminobenzanilide(以下DBA)、pyromellitic dianhydride(以下PMDA)をモル比5:495:502で仕込み、DMF中に溶解させ、氷冷しながら2時間反応させポリマーを得た。得られたポリマーの化学構造はNMRで同定した。紫外光照射前後での紫外可視吸収スペクトル、GPCによる分子量測定、キャノン・フェンスケ型毛細管粘度計を用いたポリマー希薄溶液の各濃度での粘度を測定した。紫外光照射により高分子中のアゾベンゼンはトランス体からシス体へと光異性化することがわかった。また、可視光照射によりシス体はトランス体に戻った。GPCによる測定で、紫外光照射後に溶液中のポリマーの流体力学半径が減少することが確認できた。また、可視光照射により流体力学半径はもとの大きさに戻った。この流体力学半径の変化は可逆的であった。一方、粘度計で測定した光照射前後での高分子溶液の粘性係数変化はごくわずかであった。これは流体力学半径の測定結果と矛盾している。GPCは希薄溶液下で測定するため、分子鎖の絡み合いがおきにくいが、粘度測定では比較的高濃度溶液で測定するため、分子鎖の絡み合いが生じ異性化を抑制していると考えられる。
実際に数平均分子量が1万を超えると、紫外光照射による光異性化の速度が極端に低下する。これらの問題点を克服するためには側鎖を導入し、高濃度においても分子鎖が凝集しないようにする必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的である、光異性化部位を含む剛直な高分子を合成し、紫外光照射後の流体力学半径が減少することを見いだした。この実験結果は高分子鎖の絡み合いが減少したことを示唆している。しかし紫外光照射による粘性係数の減少はごくわずかであった。これは剛直な高分子鎖中のπ電子-π電子相互作用により、分子鎖が凝集していることに由来する。側鎖を導入し、分子鎖の凝集を防ぐことで研究がより進展すると思われる。

今後の研究の推進方策

主鎖の凝集が高分子の光応答性を妨げている。従って、主鎖の凝集を防ぐために、側鎖を導入し、溶媒への分散性を向上させる。また、主鎖中に光プローブ分子を導入し、分子鎖の形態変化をin-situ観察することを試みる。分子構造と光照射前後での流体力学半径の変化、粘性係数の変化の相関性を明らかにする。粘性係数変化の応答速度を向上させるために分子量の影響を調査する。
合成した高分子を利用して、光照射によって減衰係数が変化するアクティブサスペンションを試作する。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] Photochemically-induced reversible control of network structure of poly(amide acid) gels studied with scanning microscopic light scattering2012

    • 著者名/発表者名
      T.Watanabe, H.Furukawa, M.Yoshikawa, K.Horie
    • 雑誌名

      Macromolecules

      巻: (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 光照射により粘性率が制御できる高分子溶液2012

    • 著者名/発表者名
      河西匠、山浦祥一郎、草野大地, 渡辺敏行
    • 学会等名
      第21回インテリジェント材料/システムシンポジウム
    • 発表場所
      東京女子医科大
    • 年月日
      2012-01-10
  • [学会発表] マイクロニードルアレイ上での細胞応答制御2012

    • 著者名/発表者名
      桂田悠基、渡辺敏行、清水美穂、跡見順子
    • 学会等名
      第21回インテリジェント材料/システムシンポジウム
    • 発表場所
      東京女子医科大
    • 年月日
      2012-01-10
  • [学会発表] 末端架橋型剛直性高分子ゲルの網目構造と光応答特性2011

    • 著者名/発表者名
      草野大地, 渡辺敏行, 古川英光
    • 学会等名
      第60回高分子討論会
    • 発表場所
      岡山大学津島キャンパス
    • 年月日
      2011-09-29
  • [学会発表] リビングラジカル重合を用いたポリ(2-ビニル-4,6-ジアミノ-s-トリアジン)を含むブロック共重合体の合成2011

    • 著者名/発表者名
      野島裕介、渡辺敏行、杉山賢次
    • 学会等名
      第60回高分子討論会
    • 発表場所
      岡山大学津島キャンパス
    • 年月日
      2011-09-29
  • [学会発表] 四官能性架橋剤を用いた末端架橋型高分子ゲルの光応答と網目構造2011

    • 著者名/発表者名
      草野大地、吉原直希、村上義彦、渡辺敏行
    • 学会等名
      日本化学会第5回関東支部大会
    • 発表場所
      東京農工大学
    • 年月日
      2011-08-31
  • [学会発表] 高分子修飾リポソームからの近赤外光照射による薬剤放出2011

    • 著者名/発表者名
      李青、河野健司、渡辺敏行
    • 学会等名
      日本化学会第5回関東支部大会
    • 発表場所
      東京農工大学
    • 年月日
      2011-08-31
  • [学会発表] 四官能性架橋剤を用いた末端架橋型高分子ゲルの網目構造と光応答性2011

    • 著者名/発表者名
      草野大地, 吉原直希, 村上義彦, 渡邊敏行
    • 学会等名
      平成23年度繊維学会年次大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀
    • 年月日
      2011-06-09
  • [学会発表] 四官能性架橋剤を用いた末端架橋型高分子ゲルの光応答とネットワーク構造2011

    • 著者名/発表者名
      草野大地, 吉原直希, 村上義彦, 渡辺敏行
    • 学会等名
      第60回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2011-05-26
  • [学会発表] 末端架橋高分子ゲルの剛直性とネットワーク構造2011

    • 著者名/発表者名
      山浦祥一郎, 渡辺敏行, 古川英光
    • 学会等名
      第60回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2011-05-26
  • [図書] 高効率二光子吸収材料の開発と応用2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺敏行編
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      シーエムシー出版
  • [図書] 「高効率二光子吸収材料の開発と応用」分担執筆第1章「二光子吸収材料の分子設計」2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺敏行
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      シーエムシー出版
  • [図書] 「高効率二光子吸収材料の開発と応用」分担執筆第6章1節「二光子励起による三次元光造形の原理」2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺敏行
    • 総ページ数
      16
    • 出版者
      シーエムシー出版
  • [図書] 「高効率二光子吸収材料の開発と応用」分担執筆第6章4節「二光子励起重合による細胞培養足場の作製」2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺敏行
    • 総ページ数
      13
    • 出版者
      シーエムシー出版
  • [図書] 「高効率二光子吸収材料の開発と応用」分担執筆第6章4節「二光子励起重合による細胞培養足場の作製」2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺敏行、平田修造
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      化学同人

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公開日: 2013-06-26  

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