研究課題/領域番号 |
23360111
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青井 伸也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60432366)
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研究分担者 |
中陦 克己 近畿大学, 医学部, 講師 (60270485)
柳原 大 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90252725)
土屋 和雄 同志社大学, 理工学部, 教授 (70227429)
舩戸 徹郎 電気通信大学, 情報理工学研究科, 助教 (40512869)
冨田 望 同志社大学, 理工学部, 特別研究員 (00375156)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歩行 / 踏破性 / 頑健性 / 筋骨格・神経機構 / ヒト / サル / ラット / シミュレーション |
研究概要 |
昨年度に引き続き,脳・身体・環境の相互作用から生成される歩行の高度踏破性及び頑健性を実現するための筋骨格・神経機構の解明を目指して,ヒト・サル・ラットを対象に運動計測データに基づいて運動機能を明らかにする解析的研究と,神経筋骨格モデルに基づくシミュレーションやロボットを用いて機能的役割を明らかにする構成論的研究を行った. ヒトの運動解析では,左右分離型トレッドミルを用いて,環境の変化に対する適応的運動調整機構を調べた.特に左右ベルトの速度差に応じた脚間位相差やデューティー比の変化について調べ,後述する2脚ロボットの実験結果と比較した. サルの運動解析では,トレッドミル上で4足と2足歩行を交互に行うサルの大脳皮質・一次運動野から単一神経細胞活動を記録し,体幹・四肢からも筋活動を同時に記録した.その結果,歩行中のサルの一次運動野は肢運動の礎となる脊髄神経回路網の律動的活動をオンラインで一歩毎に修飾し,移動に伴う重心の脚間授受を円滑に行うことに寄与することが示唆された. ラットの運動解析では,障害物跨ぎ越し歩行における前肢及び後肢の主要な筋群から筋電図活動を記録解析した.またこの障害物跨ぎ越し歩行において,マウスを対象にして身体性作業記憶を調べるための実験パラダイムを新たに構築した. 構成論的研究に関しては,昨年度までに構築してきた神経筋骨格モデルに基づくシミュレーションだけでなく,これまで明らかにされた知見に基づいて2脚ロボットの制御系を設計し,頑健で適応的な歩行を実現した.特に,運動学シナジーに基づく運動計画によって4足から2足歩行へ歩容を連続的に遷移させることを可能にし,運動調整に寄与する位相リセットを用いて安定でロバストな歩容遷移が実現できることを明らかにした.更に,左右分離型トレッドミル上での歩行実験を行い,位相リセットを用いることでヒトと同様の適応機能が生じることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
振動台やトレッドミルを用いたヒトの外乱負荷時の歩行の運動解析や,サル2足歩行時の大脳皮質運動領野からの神経細胞活動の記録や体幹・四肢の筋活動の記録,小脳皮質を一部破壊したラットの障害物跨ぎ越し歩行の運動解析,解剖学データ・神経生理学的知見に基づく神経筋骨格モデルによる歩行シミュレーションやロボットを用いた機能的役割の検証など,当初予定していた研究計画が予定通り遂行されており,研究代表者と研究分担者の間で頻繁にミーティングを行い生工連携研究が着実に進められているため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度までと同様に,ヒト・サル・ラットの歩行の運動計測と解析,神経筋骨格モデルに基づく動力学シミュレーションやロボット実験を行い,これまで通り頻繁に研究ミーティングを実施して,生工連携による研究を推進していく.
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