研究課題/領域番号 |
23360118
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
濱島 高太郎 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00314815)
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研究分担者 |
津田 理 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10267411)
宮城 大輔 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10346413)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ケーブルインコンジット / 3次元位置測定 / 撚りピッチ / 等面積法 / 機械的エネルギー / 一様電流分布 / 接続部 / 素線配置 |
研究概要 |
大型の超伝導コイルでは,多数本の細い超伝導線を撚り合せて圧縮し,コンジットの中に挿入した構成のケーブル・イン・コンジット(CIC)導体を用いるが,高磁界下で運転すると,予期しない超伝導特性の劣化が発生する場合がある。これらの原因究明のためには,CIC導体内各素線の3次元位置の情報を詳細に把握する必要があるので,CIC導体を約1cm幅に切断して,各素線の位置を測定した。その結果,多数本の超伝導素線が導体製作時に圧縮を受けて,所定の位置から大きく変位するために発生することが分かった。この解明のために,導体の圧縮変形を反映できるように導体の製造過程を考慮した断面内の素線位置を解析する等面積法を提案した。等面積法では,素線同士が重なる場合があるので,全素線の機械的エネルギーが最小となるように素線に微小な摂動を加えて素線配置の最適化を行った。その結果,素線の重なりの解消と同時に,素線の表面に出現する長さ分布などが実測結果と良く一致した。実測したCIC導体では約13%の素線がケーブル表面に出現しないことがわかり,その導体製造条件を基に解析すると,同様に約13%の結果を得ることができた。導体の製造パラメータの一つである各サブケーブルの撚りピッチが素線分布に大きな影響を与えているのが分かったので,全ての素線が表面に出現するピッチの条件を見つけ,かつ,標準偏差も少ない条件を明らかにした。さらに,実際の素線分布の状態を表す評価指数として,ケーブル表面に出現する素線分布,素線間で対を形成するループのループ長や接触長分布などを提案した。また,素線間の機械エネルギーを最小とする摂動計算の遺伝的アルゴリズムを工夫して時間短縮した。さらに,実導体を用いて極低温下でケーブル表面に出現する素線分布を調べ,本解析方法の妥当性を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CIC導体内の素線位置の3次元計測技術は確立できた。また,導体製造工程を考慮した等面積法を用いて導体内の素線位置分布を解析した。その結果は実際に測定した素線位置分布と統計的に良く一致することが分かった。また,現実の素線配置に近づけるために,機械エネルギーを最小にする摂動解析により素線間の重なりも解消できた。さらに,解析法の妥当性を実証するために,ケーブルの表面に出現する素線の長さ分布を実際の導体を用いた極低温下での抵抗測定評価により,本提案方法の有効性が実証された。
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今後の研究の推進方策 |
CIC導体内の素線配置は多くのパラメータに依存しているので,これまでに解析推定した素線位置の統計的な処理を行うための評価基準となる指標を提案した。これらの指標の基に,導体内の直流的な電流偏流分布現象を調べ,その対策として導体製造パラメータであるピッチの最適化を検討する。また,素線間のループに鎖交する面積と交流損失の関係を調査して,交流損失増大の原因を明らかにし,その対策として導体製造パラメータの依存性を調査する。さらに,素線の臨界電流劣化と素線間の接触分布特性を調査して,劣化の原因とその対策を提案する計画である。
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