研究課題
本年度は、これまで試作機について実施した超伝導状態と非超伝導状態における回転特性試験をさらに詳細に進め、その電磁界解析に基づく再現を通して、非線形等価回路定数の温度特性を明確化した。また、上記結果をもとに、冷却効率を優先すべき定常時特性と、冷却パワーを優先すべき過渡時特性について検討した。さらに、温度可変時に必要な昇降温時間を短縮するため、鉄心スロット内の高温超伝導固定子巻線のみを冷却する構造(鉄心は冷却しない)を提案した。次に、超伝導巻線の駆動温度を可変とした場合について、最大効率制御時の効率マップを非線形等価回路に基づいて示した。本結果によって、例えば定常時は77 K程度の臨界電流(ゼロ抵抗状態を維持する最大の電流)のかご形巻線でありながら、始動時などに温度少し下げることによって上記臨界電流を上げることができ、その結果大きなトルクを得ることが可能になる。さらには、室温やあるいは110 K程度の温度から定常運転温度(77 K)に冷却するための時間を、GM冷凍機を接続したダミー負荷について詳細に測定した。特に、本研究では当該冷凍機の駆動周波数を積極的に変化させ、上記冷却時間との関係を検討した。本検討によって、例えば回転機を駆動していないスタンバイ状態では冷凍機COPの高い110 K程度に温度を維持しておき、運転時に短時間で駆動温度まで冷却することにより、冷却系まで含めても高効率な超伝導回転機システムを実現できる可能性がある。最終的に、現状の実績をベースに冷凍機COPを仮定して、超伝導回転機システム全体の効率を等価回路解析したところ、既存の常伝導永久磁石回転機システムよりも高効率システムを実現できる可能性を明らかにした。以上を総合し、非超伝導状態を含む温度軸の超伝導線材特性を積極的利用した最適冷却法・最適駆動法の基礎を確立することに成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 23 ページ: 5201705
10.1109/TASC.2013.2244637