研究課題/領域番号 |
23360126
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
庄山 正仁 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (40187513)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | スイッチングノイズ / ブリッジレスPFC / 寄生要素 / 三相インバータ / コモンモードノイズ電流 |
研究概要 |
パワーエレクトニクス回路ではスイッチング素子が高周波でオン・オフ動作を繰り返すため、それ自体がスイッチングノイズの発生源となり、伝導・放射ノイズとして周囲にノイズをまき散らし、機器の誤動作の要因となる恐れがある。本研究は、パワーエレクトロニクス主回路におけるトポロジーの工夫によるノイズ低減法を基礎技術とするもので、本研究でこれをさらに拡張・発展させ、応用範囲を広げることを目的とする。 今年度は,研究の2年目であり,次の3項目について検討を行った。 まず,モータ等を駆動する場合に用いられる三相インバータ回路において,対称的な構成を持つ2つの三相インバータ回路を設け,スイッチング時のパルス電流を互いに相殺することによりコモンモードノイズ電流を低減できる回路構成を新しく提案し,その効果について検討した。 次に,各種ブリッジレスPFC (Power Factor Correction, 力率改善)回路トポロジーと伝導ノイズの関係について詳細に検討し,入力部のYコンデンサとフレームグラウンドの接地用コンデンサ,商用入力電源の対地容量等が大きく影響していることを,新たに見出した。 最後に,同期整流型降圧方式DC-DCコンバータにおける実装の違いによる放射ノイズの検討を行った。今年度は,従来の回路トポロジーを用い,実装の違いによる放射ノイズの基礎的な検討を行ったが,今後,回路トポロジーの工夫による放射ノイズの低減を検討する際にも役立つものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度,新しい応用例として,「対称的な構成を持つ2つの三相インバータによるコモンモードノイズ電流の低減法」を加えることができ,DC-DCコンバータだけでなく,一般のパワーエレクトロニクス機器における低ノイズ化トポロジーの一般化に結びつける下地ができた。継続して研究を行っている「ブリッジレスPFC回路の低ノイズ化」については,入力回路部の寄生容量を詳細に検討する必要があることを新たに見出すことができた。まだ,パワーエレクトロニクス主回路におけるトポロジーの工夫によるノイズ低減手法の一般化には到達していないが,その基礎となる各種の応用事例は集まりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ブリッジレスPFC回路トポロジーと伝導ノイズの関係については,入力回路部の寄生容量を詳細に検討する必要があることを新たに見出すことができたので,今後,整理検討を行い,回路トポロジーによるノイズ低減手法を考案するとともに,他の応用回路へも展開する。 対称的な構成を持つ2つの三相インバータによるコモンモードノイズ電流の低減法については,今後,モータの軸電流の低減や,系統連係インバータへの応用展開を検討する。 また,これまでの伝導ノイズ電流の低減だけでなく,回路トポロジーの工夫による放射ノイズの低減についても検討を行う。さらに,「ノイズ電流キャンセル技術」を拡張・発展させた「ノイズ電圧キャンセル技術」の検討も行う予定である。
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