研究課題/領域番号 |
23360131
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡本 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10292278)
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研究分担者 |
島津 武仁 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (50206182)
北上 修 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70250834)
菊池 伸明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80436170)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 磁気記録 / ナノドット / 磁気共鳴 |
研究概要 |
本研究ではマイクロ波アシスト磁化反転の原理実証を目的としており,検討課題として(1)マイクロ波アシストによるナノドットのスイッチング実験,(2)低スピン緩和材料の開発,(3)マイクロ波アシストにおける学理究明,の3項目を挙げている.本年度は2年目にあたり,垂直磁化ナノドットを用いたマイクロ波アシスト磁化反転を重点的に検討した. 試料は単一のCo/Pt垂直磁化ナノドット(120ナノメートル径)を用い,2ミクロン幅Cu線路にrf電流を印加することによりrf磁場を発生させた.rf磁場強度はドットの異方性磁場に対して数%程度の大きさとした.単一ドットで実験を行うことにより,ドット間のバラツキの影響などを受けないで,マイクロ波アシスト効果の原理検証が可能となる. rf周波数の増大に伴い,反転磁場はほぼ線形に減少することが確認でき,また臨界周波数以上の領域ではマイクロ波アシスト効果が消失することも併せて確認できた.この挙動はマクロスピンモデルに基づく理論予測と非常によく対応するものである.一方,定量的な比較では,実験で得られたマイクロ波アシスト効果は理論予測に比べて2倍程度と著しく大きく,また臨界周波数も高周波側にある.有限のセル分割を行ったシミュレーションを行った結果,実験結果を定量的にも概ね再現することが出来た.シミュレーション結果を詳細に検討した結果,不均一な磁化歳差運動が励起されており,これがマイクロ波アシスト効果の著しい増大の原因と考えられる.今後は,今回見出された不均一歳差運動とマイクロ波アシスト効果の関係を更に詳細に検討していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ナノドットでのマイクロ波アシスト実験に関しては,未だ世界でほとんど実施されておらす,また予想以上に大きなマイクロ波アシスト効果を見出すことができた.これらは当初計画よりも大幅な進展であり,研究開始時点での実験的な予備検討と理論的考察を十分に進めてきたことが理由である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により,極めて大きなマイクロ波アシスト効果が見出され,不均一歳差運動がその原因となっていると考えている.今後は,両者の相関を系統的に調査し,有効な媒体構造やマイクロ波印加手法の確立を図る.
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