研究課題
半導体レーザーの利得性能計算には、自由電子近似に基づくバンド理論が用いられてきた。本研究では、キャリア間多体クーロン相互作用を平均場近似で取り入れて、レーザーのモード利得を定量的に計算する理論の定式化および数値計算コード化を行った。この理論の有用性・必要性を明らかにして実用化に資するため、高品質T 型量子細線レーザー及び量子井戸レーザーに対して、吸収や利得スペクトルの精密定量計測を行い、その理論計算結果との比較を行った。実験では、高品質3周期T型量子細線試料を用いて、利得スペクトルのキャリア密度依存性を精密測定した。また、1次元励起子の温度依存定量吸収スペクトルと吸収断面積絶対値を評価した。高品質100周期T型量子細線試料を用いて、1次元励起子の吸収断面積の定量評価実験を行った。アインシュタインA-B係数関係式の1次元版に相当する一般式の導出に基づき、1次元励起子固有輻射寿命を評価し、蛍光寿命の温度依存性測定による方法との一致を確かめた。半導体量子井戸2次元連続帯吸収の計測標準応用について、詳細平衡関係式を用いた励起子非平衡分布評価の実験を行った。理論計算では、計算パラメータをk・p 摂動論に基づいて決定し、1 次元量子細線系と2 次元量子井戸系用のキャリア間多体クーロン相互作用を平均場近似で取り入れ、レーザーのモード利得を定量的に計算する理論を、コードとして試作した。k空間上を離散化して得たメッシュ数Nに対応するN×N非エルミート行列の対角化を行う必要がありメッシュサイズによっては計算が重たくなる場合があった。そこで、遮蔽クーロン相互作用の波数依存性を無視したた計算も行った。これらの理論により得られた定量的利得スペクトルやピーク利得値を実験と比較して、開発した理論の有用性を明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (24件) (うち招待講演 3件)
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