研究課題
薄膜トランジスタ(TFT)はディスプレイを駆動するデバイス素子である.本研究では,poly-Si TFTを200°C以下の超低温で作製する技術として,水中で試料へレーザー照射を行う「水中レーザーアニール(WLA)」を提案した.WLAでは水による冷却効果とSi膜中温度の均一化効果を利用する.これらによって,基板温度上昇を抑制しつつ高品質なpoly-Si膜の形成が期待できる.また,WLAでは試料表面が水蒸気に暴露される為,水素による電気的欠陥の終端効果が期待できる.WLAおよび従来結晶化で用いられる大気中レーザーアニール(LA)にて形成したガラス基板上poly-Si薄膜の粒径サイズを調査した.LAと比較してWLAでは大粒径かつ均一な結晶粒,すなわち高品質poly-Si膜が形成されていた.次にWLAによりpolyethylene terephtalate(PET) 膜上の非晶質Si(a-Si)薄膜を結晶化させた.ラマン分光測定により評価したWLA poly-Si膜の結晶化率とピーク波数を調査した.結晶化時の照射エネルギー増加により結晶化率が向上し,ピーク波数も高波数側へシフトした.結晶化率の最大値は96%でガラス基板上WLA poly-Siと同等であり,プラスチック上においても,高品質poly-Si膜の形成を実現した.続いて,WLAによるpoly-Si TFTの欠陥不活性化を試みた.WLA/LA前後のpoly-Si TFTの伝達特性を調査した.WLA後のみTFT特性は改善し,移動度が約30%増加し,オン/オフ比とS値も向上した.さらにpoly-Si膜の水素濃度が増加しており,WLA中に発生した水蒸気中の水素によって電気的欠陥が補償され,特性が向上したと考えられる.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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