研究課題
研究題目に掲げた高性能絶縁材料開発については、平成25年度には、23年度、24年度に引き続きエポキシ樹脂を中心的な試料とした。すなわち、エポキシ樹脂にシリカおよび窒化アルミニウムのナノフィラーを少量分散させたナノコンポジットについて、mHz~MHzにおいて、誘電率および誘電損率の温度依存性を調べた。さらに、複素誘電率の逆数としての電気的モジュラスの印加電圧の周波数への依存性を解析することにより、低周波域での電荷輸送ならびに高分子の粘弾性挙動に起因する緩和現象を明らかにした。この電気的モジュラスの解析が、これまで不可能であった緩和ピークを明確に示すことができることを示す論文を2報投稿している。また、主剤溶液の粘度が、エポキシ樹脂に比べて1/4000と極めて低く、フィラーを高充填し易く、成形加工性に富む新しい樹脂として注目されているポリジシクロペンタジエンについても、ナノコンポジット化による誘電特性への影響を調べ始めている。25年度は、まず、樹脂そのものの誘電挙動、電気伝導特性、および、ガンマ線劣化特性を把握した。ポリジシクロペンタジエンは、ジシクロペンタジエンを主原料としたオレフィン系熱硬化性樹脂である。その複素比誘電率を、ほぼ同一のガラス転移温度(約150度)を持つエポキシ樹脂と比較したところ、全ての温度および周波数において、誘電率も誘電損率もポリジシクロペンタジエンの方が有意に低い。とくに、エポキシ樹脂においては、温度がガラス転移温度に近づき、さらにこれを越えると誘電率も誘電損率も急激に増加する。しかし、ポリジシクロペンタジエンにおいては、そのような傾向は見られない。このことは、複素比誘電率を電気的モジュラスに変換し、そのスペクトルを周波数と温度の関数として表すと一層明確になる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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