研究課題
ダイヤモンドショットキーダイオード(SBD)に関して、H23年度は、カーバイド金属に特徴的な漏れ電流機構の発生機構の解明とその熱的耐性を、H24年度は、先に得られた知見を実用的な縦型素子構造に反映させることで、SBD特性の改善を行った。H25年度は、縦型ダイヤモンドSBDの特性評価を詳細に行い、カーバイド金属である炭化タングステン(WC)をSBD電極に用いる場合に、熱的安定性を向上させるための作製プロセスが必要である事を見出し、動作温度上限を見出した。(1)「縦型ダイヤモンドSBDの耐圧特性」縦型WCダイヤモンドSBDを作製し、高温での電流-電圧測定を行い、界面の熱的安定性を調べた。横型構造では高温時の電気的特性がシリーズ抵抗成分に大きく影響を受け、適切なフィッティングを行う事が出来なかった。一方で、縦型構造では、800Kにおいてもシリーズ抵抗のデータフィッティングへの影響は小さく、各温度での特性評価が可能となった。各熱処理温度での電流-電圧測定を系統的に行った結果、600Kでの熱処理後にダイオード特性の理想因子が最小(理想性が高い)となった。これは、WC蒸着時に自然に起こる界面反応が不完全な状態で停止していたものを、600Kでの熱処理により積極的に界面反応を起こし、結果的に均一化できた事によると考えられる。一方で、650K以上では理想因子が増大(理想性が低下)した。(2)「ダイヤモンド厚膜結晶成長」H24年度の結果を基に、導電性薄膜上へ低密度プラズマを用いて基板表面にダイヤモンド極薄膜をパッシベーション膜として合成した。これにより、導電性薄膜のエッチングを効果的に抑制し、疑縦型SBDの作製に成功した。この素子の特性評価を行ったところ、順方向電流は横型SBDよりも向上したが、漏れ電流が大きくなった。CL像での評価から、高濃度極薄膜層の挿入による、新たな欠陥形成が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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