研究課題
本研究では、背景光に強い三次元形状計測手法の実現を目指すことが目的で,光切断法、2次元構造光投影法、検波型光走行時間法に関する検討を行った。2次元構造光投影法においては、信号光量、蓄積時間(フレームレート)と三次元形状取得精度の関係を実測で示すことにより、以下の検討の基礎となるデータの取得を行った。この実測結果に基づき、背景光量、信号光量に対して、形状取得精度に関する理論的検討を行った。ここでは、光のショット雑音、回路で生じる熱雑音等の影響をAD変換の1-LSB分と近似することにより、フォトダイオード、デバイスに起因する差異を取り除き、手法毎の特性を明確化することを目指した。光切断法においては、信号光強度と背景光強度の比(信号・背景光比)が1LSBの場合の検出では、0.5ピクセル精度となるが、信号光が背景光に対して十分大きい場合には輝度分布から求まるサブピクセル精度の実現による精度限界を求めるとともに、受光信号の飽和に伴うサブピクセル精度の劣化の検討を行った。同様に、検波を用いた光切断法における背景光除去性能に関しての解析も行った。同様に光走行時間法においてロックインピクセル(検波)による光の位相計測手法における誤差の検討も行った。これらの検討に基づき、光切断法において、検波回路を設けることによる背景光除去性能の最適化を実現することで、シミュレーションにより-40dBの背景光抑圧(信号光強度が背景光に対して4桁小さくても三角測量が可能)の実現可能性を示し、これに基づいた、ピクセルの設計、イメージセンサの設計を進めている。
2: おおむね順調に進展している
三次元形状計測の測定可能範囲の定量的な評価に関して、背景光・信号光量の比と三次元形状計測の精度の限界の関係について定式化を行い、種々のセンサーに適応した評価中である。センサーシステムの構築に関しては、試作イメージセンサの製造完成を待っているところであり、いずれもほぼ研究計画に沿ったものである。
平成24年度以降は、システムの構築に主眼をおき、背景光耐性を高めかつ高速性を維持したイメージセンサの作成およびそれを用いたシステム構築を目指す
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IEICE Trans.On Electronics
巻: Vol.E95-C,No.4 ページ: 635-642
巻: Vol.E94-C,No.6 ページ: 1098-1104
映像情報メディア学会誌
巻: Vol.66, No.3 ページ: 204-208