研究課題
平成24年度は、時間符号化二次元パタンをチップ面上でピクセル値を投影毎に読みだすことなく空間コードを得るアーキテクチャにおいて、カウンターを用いることで、0度(InPhase)、90度(Quad-Phase)の情報を完全ディジタルにより取得することで、ピクセルパラレルに光信号を検波し、背景光より微弱な時間符号化二次元パタンを取得することで三次元形状計測を実現するイメージセンサの試作とそのシステムの実現を行った。イメージセンサは最先端の65nmCMOSプロセスを用いて実現することで、ピクセルサイズの縮小および検波速度の高速化を目指した。ただし、通常のイメージセンサプロセスと比較すると、マイクロレンズを用いない影響、および配線総数が大きく光が透過しにくいこと、フォトダイオードが低感度であることなどからイメージセンサとしての感度は1/10程度に劣化しているものと予想される。本イメージセンサシステムを実測することで、最大4ケタ以上の光強度に対するダイナミックレンジを有し、-21dB(光強度で2ケタ以上)の背景光除去特性を実証するとともに、-5.5dB(背景光に対して信号光強度が 1/3)において、毎秒10フレームの速度で三次元形状計測が可能であることを示した。なお、イメージセンサ感度が低いために、ToFを測定するのに十分な信号光照射強度を得る実験環境の構築に至っておらず、ToFの測定は次年度に実現する予定である。また、全画素並列による検波ではピクセルサイズが大きくなってしまうことが問題であることから、新たに注目点のみ検波を行う手法の検討を行うことで、全画素並列手法と比較して、ほぼ同等の検波速度・フレーム取得速度を実現しながら、ピクセル寸法の削減の実現可能性を示すことができた。
2: おおむね順調に進展している
背景光以下の信号を検出することで三次元形状取得を実現するイメージセンサ、システムを構築することで、当初今年度目標としていた研究成果の多くは実現できているが、光走行時間法(ToF)による距離測定にまでは実験環境の整備が間に合わず実験ができていない点が若干の研究進捗の遅れと考えている。
特に大幅に研究計画を変更することなく、三次元形状測定の実時間・高速測定を可能とするシステム構築を目指した研究を推進する。
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IEICE Trans. on Electronics
巻: E95-C, No. 4 ページ: 635, 642