極短波長光源(EUV)リソグラフィに代表されるように、ナノスケールの描画技術の進歩はかなり速くなっている。これに伴い、高分子パターン形状のナノスケール制御技術の重要性が増している。レジスト材料は、近年、永久材料として、デバイス構造内に残す手法が盛んになり、化学増幅型としてのスチレン系、および汎用型のノボラック系樹脂をベースポリマーとして、実用化されていている。また、現在、国内外において、15nmサイズのレジストパターンの実用化が必須課題となり、その研究開発が盛んである。本研究では、高分子集合体間の相互作用に注目し、溶剤雰囲気中での相互作用をAFM(原子間力顕微鏡)を用いながら、それぞれ微小球サイズの幾何平均で表わせることを検討した。本研究期間には、以下のような実績が得られている。 ・高分子集合体の凝集構造を形成したレジスト表面に対して、AFM探針を接触させて押し込みながら、探針に作用する力を検出した。これらを溶液中で実行する。よって、レジスト表面に付着したナノバブルなどが樹脂の凝集状態に影響し、結果として表面軟化層の形成を示唆する結果も得られた。これはレジスト膜の熱処理時の熱輻射により、高分子集合体の凝集サイズが変動したことも推察される。また、微細探針をレジスト膜表面にインデントし高分子集合体との摩擦に起因する粘弾性挙動を定量解析した。この手法によりポリマー内の粘弾性挙動を明確にできるため、パターン付着時の変形特性やドライエッチング時の帯電変形、およびLER(Line edge roughness) の発現機構の解明が進むことが期待され、微細レジストパターン全体としての強度設計に有効に役立つと考えられる。
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