研究課題/領域番号 |
23360151
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中本 正幸 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (10377723)
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キーワード | 電子デバイス・機器 / 先端機能デバイス / マイクロ・ナノデバイス / 微小電子源 / 電力変換 |
研究概要 |
本研究では、独自の転写モールド法エミッタ作製技術を用いて、仕事関数が低く耐環境性のあるアモルファスカーボン、TiN等のエミッタ材料からなり、極微小電子源を作製し、エミッタ材料の基本電子物性と電界放出特性との関係、真空一貫エミッタ作製評価システムを用いてガス雰囲気との関係等を究明し、超精密位置制御された量子ドットサイズ極微小電子源の開発を目的とする。 まず、転写モールド法エミッタ作製技術を用いて、低仕事関数・耐環境性エミッタ材料としてアモルファスカーボン薄膜をSi鋳型内に形成する。アモルファスカーボン薄膜は、プラズマCVD法により、アセチレン(C_2H_2)ガスを原料ガスとし、常温で行いを試作した。更に金属支持層を充填、Si溶解除去を用いSi鋳型を除去し、微小電子源を試作した。低温作製可能で膜形成速度制御も容易なスパッタリング法を用いTiN被覆型転写モールド法微小電子源を試作した。試作したエミッタ材料であるアモルファスカーボンとTiNの仕事関数は3.2-3.6eVとなり一般的なエミッタ材料のMoの4.5eVと比較して低くなった。試作した転写モールド法微小電子源の電界電子放出特性を調べた。転写モールド法微小電子源のturn-on電界は15.4-17.5V/μmとなり、既存のSpindt型微小電子源などの50-600V/μmと比較してturn-on電界が低くなった。 次に、転写モールド法エミッタ作製技術と電子ビーム露光法により400~1.6μmのSi鋳型を試作し、基底部長さ370nm~1.57μm、先端曲率半径3.2-3.6nmの先鋭性に優れ極微小電子源の開発に成功した。次に、大電流電界電子放出電流評価ユニットを設計・試作を行った。電力変換デバイス・高効率・高現実感・3次元ディスプレイ実現のため、数十~1A程度の大電流電界電子放出電流評価ユニットを設計・試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
独自の転写モールド法エミッタ作製技術を用いて、3.2-3.6eVの低仕事関数・耐環境性エミッタ材料 Si鋳型内形成型と被覆型転写モールド法アモルファスカーボンとTiN微小電子源を試作した。転写モールド法微小電子源のturn-on電界は15.4-17.5V/μmとなり、既存のSpindt型微小電子源などの50-600V/μmと比較してturn-on電界が低くなった。次に、転写モールド法エミッタ作製技術と電子ビーム露光法により400~1.6μmのSi鋳型を試作し、基底部長さ370nm~1.57μm、先端曲率半径3.2-3.6nmの先鋭性に優れ極微小電子源の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度研究を更に進め、電子ビーム露光法により(a)400nm~100nm(b)100nm~60nmの2段階によりSi鋳型の均一形成の作製条件検討・試作を順調に進展して超精密位置制御された量子ドットサイズ極微小電子源を開発する。H24年度は、100nm~400nmのSi鋳型の均一形成の作製条件検討等を行い、基底部長さ100nm~400nm、先端曲率半径1~5nmの量子ドットサイズSi鋳型内形成型・被覆型転写モールド法極微小電子源を開発する。プラズマCVD法によりアモルファスカーボン薄膜の試作最適条件を探る。極微小電子源を真空一貫エミッタ作製評価システム用いて、大気・ガス雰囲気と耐環境性エミッタ材料との関係、電流安定性の改善等に対する効果などを究明する。表面障壁評価装置を用いて、表面障壁エネルギー2次元分布を評価し、電界電子放出特性等から求めた仕事関数等と併せ、エミッタ材料作製条件・組成・電界電子放出特性等との関係を明らかにする。大電流電界評価ユニットによる数十~数白mA/cm^2程度の電流が得られる極微小電子源を試作、材料組成と電流安定性等との関係を検討する。
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