研究課題/領域番号 |
23360164
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
榊 裕之 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90013226)
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研究分担者 |
大森 雅登 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 嘱託研究員 (70454444)
VITUSHINSK Pavel 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究補助者 (30545330)
秋山 芳広 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究補助者 (60469773)
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キーワード | 光検出 / 三角障壁 / 量子ドット / GaAs / GaSb / 分子線エピタキシー / 単一光子検出 / 光通信波長 |
研究概要 |
上下のn型電極の間に、高純度のGaAsまたはInGaAs薄膜を形成し、その中央部にアクセプタ不純物を導入すると、三角型障壁を持つダイオードが得られる。この素子の中央部にGaSbやInAsのナノ粒子(量子ドット)を埋めこんだ素子を設計し、分子線エピタキシー法を用いて試作し、その伝導特性や光照射効果を調べている。 まず、GaAsを用いた素子においては、上下の電極間に、三角障壁の高さのほぼ2倍のバイアス電圧を加えると、実効障壁が消滅し、電流が急増することが裏付けられた。また、この素子に光を照射すると、光によって作られた正孔のみが障壁内の量子ドット部分に落ち込み、障壁の高さが局所的に下がるため、より低いバイアス電圧でも、電流が流れ始めることが判明し、光検出の基本原理が実証された。この素子の動作原理をより詳しく調べ、素子機能を高める方法を探るために、素子の伝導特性を室温から極低温まで系統的に計測し、リチャードソンによる熱電子放出の理論でほぼ記述できることを明らかにした。また、照射する光の強度や照射時間とともに、ドットに蓄積する正孔が増す様子も明らかになりつつある。光通信波長に対応可能な素子として、GaAsの代わりにInGaAsを使用した素子を試作し、初期的特性を明らかにした。 24年度には、極微の光照射条件下での素子の応答を調べ、暗電流の低減による一光子レベルでの光検出の可能性を明らかにする。また、光の照射によってドット内に蓄積された正孔を、必要に応じて効率よく消去する手法の検討を進め、その有効性を実証することを目指す。また、ドットの形状や面密度の制御法も改善し、特性の向上につなげる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
幸い、試料の作成が順調に進み、特性評価も極めて円滑に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展しており、予定通りに研究を推進する。
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