研究課題/領域番号 |
23360164
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
榊 裕之 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90013226)
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研究分担者 |
大森 雅登 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 嘱託研究員 (70454444)
VITUSHINSK Pavel 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究補助者 (30545330)
秋山 芳広 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究補助者 (60469773)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光検出 / 三角障壁 / 量子ドット / GaAs / GaSb / 分子線エピタキシー / 単一光子検出 / 光通信波長 |
研究概要 |
n型電極層の上に、高純度GaAsやInGaAs薄膜を成長した後に、アクセプタ不純物をシート状に導入し、さらに高純度GaAsやInGaAs薄膜とn型電極を形成すると、三角型障壁を持つダイオードが得られる。この素子の中央の三角障壁の頂上近傍にGaSbやInAsの量子ドットを埋めこんだ素子を設計・試作し、障壁を横切る電子伝導機構を調べている。また、光照射による伝導特性の変化も調べ、光検出器に応用する試みを進めている。 まず、GaAsを用いた素子では、上下の電極間に、三角障壁の高さの約2倍の電圧を加えると、実効障壁が消え、電流が急増することを見出した。この電流-電圧特性の温度依存性を調べ、熱電子放出の理論と対比した結果、実験の概略は説明できるものの、一部にずれのあることも明らかとなり、その原因を調べている。 この素子に光を照射すると、光励起で生じた正孔は障壁頂上部の量子ドットに落ち込み、障壁を局所的に下げるため、より低いバイアス電圧で電流が流れ始め、光検出器に応用できることを実証した。この素子の光検出機構を調べ、機能を高めるために、光照射の時間や強度を変えた時の応答を調べ、ドットに蓄積する正孔が増す様子を明らかにした。また、素子を小型化し、関与するドットの数を減らし、暗電流の低下と感度の向上を試みた。また、光通信波長を検出するため、InGaAsを用いた素子も試作し、初期特性を明らかにした。 25年度には、極微弱光に対する素子の応答を低温で調べ、一光子レベルでの検出の可能性を明らかにする。また、光の照射でドット内に蓄積された正孔を、効率よく消去する手法を実証し、応答速度の向上に有効であることを示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料の作成と評価の大部分は、順調に進んだが、蓄積した光キャリアの消去法の探索など、一部に遅れが生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究は、概ね順調に進展しており、一部の遅れを解消しつつ、研究は予定通り進める。
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