開発した流体可変キャパシタを使用した可変帯域除去フィルタ(BEF)の開発を行った。これは、1-10GHzの周波数帯域に適用できるものであり、可変キャパシタに加えてインダクタを集積化して作製した。 可変キャパシタは20μmギャップをもつ二つの平行電極の間に水を搬送するものであり、理論的に80倍の静電容量可変率(CCR)をもっている。試作したデバイスでは、寄生容量の影響によってCCRが31に低下することがわかった。しかし、この高い周波数帯域では世界最高のCCRに相当する。この大きな可変率をもつ可変キャパシタを搭載したBEFは、簡略な構成であるにも関わらず、静電容量が増大するにしたがって中心周波数が4.52から0.92GHzまで変化した。これは4.9倍のフィルタ中心周波数変化率をもつフィルタ特性であり、研究者の知る限り、世界最高の値である。 この研究成果は、20μmという狭いギャップに水を搬送したこと、10GHzという高い周波数において水を使用した可変キャパシタが正常に動作することを初めて実証したことにおいて革新的なものである。また、この成果の実際的な応用実証に成功したことも十分に評価されるべきものである。
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