研究課題/領域番号 |
23360167
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
阪田 史郎 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 教授 (80375609)
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研究分担者 |
塩田 茂雄 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70334167)
関屋 大雄 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (20334203)
小室 信喜 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 助教 (70409796)
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キーワード | 無線マルチホップネットワーク / QoS制御 / センサネットワーク / クロスレイヤ制御 / 空間利用効率 |
研究概要 |
本研究は、マルチホップ化に対して、クロスレイヤ制御、優先制御のための送信抑制制御、空間利用効率向上方式、ARQ-FEC方式によるエンド・エンド誤り制御の4つの方向から研究を進め、平成23年度は、申請者らの提案方式も含めた従来研究のレビューを通して、各方式の基礎検討、理論的解析、一部シミュレーションを試み、提案方式の実現可能性を追求した。具体的には、クロスレイヤ制御では、MAC層からのフレーム衝突率などの情報を上位層に伝え、ネットワーク層ではその情報に応じて送信キューによる優先制御、トランスポート層ではTCPによるパケット廃棄を避けるべく輻輳ウィンドウを制御する方式を提案し、一部シミュレーションによる定量的な評価を行った。 優先制御のための送信抑制制御では、中継ノードにおける輻輳の発生を防ぐため、中継ノードにおける通信バッファ使用量を監視し、輻輳発生時はメッシュのエッジノードまで輻輳を迅速に伝達することで、受信拒否確率を適応的に調整するアドミッション制御の仕組みを検討し、一部シミュレーションによる定量的な評価を行った。 空間利用効率向上方式では、ネットワークの大規模化に対応するため、各端末の送信範囲を柔軟に変更することにより空間利用効率を向上させるルーティング方式、それに伴う送出電力制御方式を、理論解析を中心に提案し、要求Qosの達成、省電力化、空間利用効率の向上を同時に実現するプロトコルを検討し一部仕様化した。 ARQ-FECの適切な組合せによるエンド・エンド誤り制御では、ARQ、FEC、ハイブリッド方式に関し、マルチホップネットワークにおけるこれらを組合せた場合の誤り能力を理論的に解明する。さらに、ARQにおける最大再送回数やFECにおける冗長度などの最適なパラメータ設定に関する基礎的検討、および一部シミュレーションによる定量的な評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無線通信の物理層とMAC層に関するシミュレータである空間電波伝搬シミュレータの高速度化、高精度化を可能にし、提案方式の有効性を示すツールが整備でき、また30ノードのマルチホップ用ノードを入手し、実験ついても現実の利用環境に近い環境で行えるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
提案方式の実際の場面での有効性を検証するため、環境モニタリングやスマートグリッドへの応用を目指したスマートメータリング、防災・防犯のための監視用センサネットワーク、家庭においでも利用可能なヘルスケア向け無線PANなど具体的な利用場面を想定した評価を推進する予定である。
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